iPS治療リスク軽減 がん原因 ウイルスで破壊 鹿大チーム 新技術開発 変異細胞 狙い撃ち

西日本新聞

 人工多能性幹細胞(iPS細胞)や胚性幹細胞(ES細胞)にがんや奇形を起こしやすい課題があることに関し、鹿児島大大学院医歯学総合研究科の小戝(こさい)健一郎教授(遺伝子治療学)らのチームが21日、がんなどの原因細胞だけを破壊する技術を開発したと発表した。「iPS細胞やES細胞を使った再生医療の課題を克服する世界初の成果」としている。1年半~2年半後の実用化を目指す。

 iPS細胞やES細胞はさまざまな細胞に成長できるため、移植などの活用分野が広く「夢の医療」と呼ばれる。だが、培養過程で遺伝子が変異してがん化したり、未熟な細胞が混入して奇形が発生したりする危険がある。理化学研究所によるiPS細胞で作った網膜細胞を患者に移植する世界初の臨床研究も、細胞に遺伝子変異が見つかり手術が見送られている。

 小戝教授らのグループはがんや奇形の原因細胞が、「サバイビン」という特定の遺伝子を持っていることに注目。サバイビンを持つ細胞だけを攻撃するように遺伝子を組み換えた「アデノウイルス」をiPS細胞やES細胞に付着させると、原因細胞だけが死滅し、正常細胞は無傷であることを確認した。人間のES細胞をマウスに注入する実験も行い、組み換え前のアデノウイルスを付けたES細胞のマウスはすべてに腫瘍ができ、組み換え後のウイルスを付けたES細胞のマウスには全くできなかったことも確認した。

 グループは、24日から大阪市で始まる日本遺伝子治療学会で成果を発表する。=2015/07/22付 西日本新聞朝刊=

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