コレステロール摂取基準廃止 食事療法 必要な場合も

西日本新聞

 生活面に6月5日付で掲載した記事「コレステロール摂取基準廃止」に読者から意見や質問をいただいた。「誤解を招いてしまう」との指摘も受けたので、この欄で記事の補足をしたい。

 記事で紹介した通り、厚生労働省は今年改定した「食事摂取基準2015年版」でコレステロールの摂取基準を削除。日本動脈硬化学会も5月1日の声明で基準削除を容認した。記事は「血中コレステロール値を気にして食事を制限している人に朗報だ」との書き出しだった。

 ただ記事では基準削除の対象が「基本的に健康な人」であることを明記せず、学会の声明にある「このこと(基準削除)が高LDL(悪玉)コレステロール血症患者にも当てはまるわけではないことに注意する必要がある」との内容を紹介することもなかった。

 つまり「健康な人は食事の際、コレステロールの摂取量をそんなに気にする必要はないが、血中のLDLコレステロール値が高い患者はそうはいかないということです。脂質異常症の治療でまずやることは食生活の改善ですから」と福岡県内の循環器内科医。「食生活や運動といった生活習慣を改善してみて、それでも血中のLDLコレステロール値が下がらなければ薬を使う。そうした手順を医師が踏まずに、いきなり薬を使ったら患者は薬の必要性を理解できず薬を途中でやめてしまう恐れもある」と続けた。

 2012~13年に連載「町医者だより

 ぼやき

 腹立ち

 大笑い」を本紙に寄稿した「社会医療法人原土井病院・みどりのクリニック」(福岡市)院長の長尾哲彦医師(専門は内科)も「食事療法で、血中のLDLコレステロール値が下がらない人もいるが、下がる人もいますから」と指摘し「食事療法はコレステロールだけでなく、併存する糖尿病などにもいい影響を及ぼすので治療の基本として大事」と強調。さらに「基準削除に伴い、血中のLDLコレステロール値が高くても大丈夫という間違った認識までが広がっている印象がある。少なくとも、心筋梗塞など動脈硬化関連疾患に一度見舞われた人は再発防止のために、LDLコレステロール値を下げた方がいい。その根拠となる研究成果がある」と話した。

 =2015/08/07付 西日本新聞朝刊=

PR

医療・健康 アクセスランキング

PR

注目のテーマ