国保 困窮救済に地域差 九州3割 医療費減免なし 市町村、財政圧迫を懸念

西日本新聞

 国民健康保険の加入者が経済的理由で医療費の自己負担分の支払いが困難な場合に減額・免除する制度をめぐり、九州7県の市町村の3割超が減免基準や申請方法などの規定を整備していないことが、西日本新聞の取材で分かった。2014年3月(佐賀県は同年8月)現在、全233市町村のうち80市町村が未整備。自治体が減免分を負担するため制度化に二の足を踏むケースが少なくなく、生活困窮者の救済策の地域格差が浮き彫りになった。

 九州各県によると、規定がないのは、福岡7町村▽佐賀8市町▽長崎9市町▽熊本21市町村▽宮崎22市町村▽鹿児島13町村。大分県は「全市町村が何らかの基準を設けている」という。

 未整備の理由について、市町村の担当者は取材に「議会や住民から要請がない」「生活保護や医療費貸し付けなどで対応している」と釈明したほか、「財政事情が厳しく、負担分を肩代わりできない」と財政圧迫を懸念する声も聞かれた。

 13年度の制度利用実績は、福岡82件▽佐賀12件▽長崎15件▽熊本74件▽大分2件▽宮崎9件▽鹿児島24件-で計218件。全日本民主医療機関連合(民医連)は「経済的困窮から医療費を負担できず、受診が遅れて死亡する事例も報告されている」と指摘する。

 厚生労働省の07年度調査では、九州の282市町村(当時)のうち7割強の211市町村が未整備だった。同省国民健康保険課は「徐々に改善しているが、居住地によって救済策に差が生じるのは好ましくない」とし、九州各県は「住民への周知のためにも制度化は望ましい」(福岡県医療保険課)として、未整備の自治体に規定の策定を促す方針だ。

 ▼国保一部負担金減免制度

 国民健康保険加入者が受診した医療機関への窓口負担(一部負担金、医療費の原則3割)が難しい場合、災害や失業、低所得など特別な理由があれば、支払いを免除、減額、猶予できる制度。国民健康保険法44条に基づき、市町村が条例や規則、要綱などで独自に基準を設定し、減免分を負担する。ただし、制度化は「自治事務」として首長の裁量に任されている。=2015/08/14付 西日本新聞朝刊=

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