発達障害 治療に糸口 九大研究グループ レット症候群 原因遺伝子の働き解明

西日本新聞

 九州大大学院医学研究院の中島欽一教授(神経科学)らの研究グループが、発達障害の一種である「レット症候群」が発症する仕組みを解明した。3日付の米科学誌セル・リポーツ電子版に論文が掲載された。治療や薬の開発につながると期待される。

 レット症候群は、言語や運動能力が衰えていく進行性の発達障害。女児に限って1万人に1人の確率で発症し、自閉症やてんかんの症状が出る。これまでは、遺伝子の一種「MeCP2」が神経細胞に何らかの作用をしているのではないかと考えられてきた。ただ、詳細な働きは分かっていなかった。

 同グループの辻村啓太特任助教を中心とした研究班は、この遺伝子がタンパク質と結合すると、神経細胞に含まれる物質「miR-199a」を増やすことを解明した。さらに、この物質が神経細胞を成長させる因子「mTOR」を活性化させることも突き止めた。

 つまり、(1)遺伝子とタンパク質が結合(2)神経細胞内の物質が増加(3)成長因子が活性化-という一連の流れがきちんと働けば、脳は正常に発達することを示す。(1)の遺伝子に異常があれば(2)で物質を減少させ、レット症候群を発症する。

 一方、遺伝子が異常なマウスでも、培養ウイルスを使って神経細胞内の物質を増やしたところ、神経細胞が正常に活動したという。遺伝子に異常があっても治せる可能性も出てきた。

 この遺伝子は、統合失調症や双極性障害(そううつ病)との関連も指摘されている。国立精神・神経医療研究センター神経研究所病態生化学研究部の星野幹雄部長は「従来知られていた遺伝子の機能だけでは、レット症候群の発症メカニズムが説明できず、新たな機能を見つけた意義は大きい。さまざまな精神疾患の病理を解明する糸口になる可能性がある」と話している。=2015/09/04付 西日本新聞朝刊=

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