薬 おなかの赤ちゃん大丈夫? 「自分で判断せず、相談を」 九大病院 福岡県内唯一の外来 解熱・鎮痛剤は「服用避けて」

西日本新聞

 ●授乳中は「ほとんど問題なし」

 もうすぐインフルエンザの流行シーズン。妊娠中や授乳中の女性にとっては、薬を飲んで赤ちゃんに影響しないか、気掛かりだ。ほかにも持病があったり、体調がすぐれなかったりして服用しなければならない場合もある。こうした不安を抱く女性たちの味方になっているのが、全国に33ある「妊娠と薬外来」だ。福岡県内では九州大病院に置かれ、医師や薬剤師が相談に応じている。

 「花粉症の薬は飲んでも構いませんか」「リウマチの薬は大丈夫でしょうか」...。

 九大病院が「妊娠と薬外来」を開設したのは2008年。05年、国の事業として「妊娠と薬情報センター」が東京に設置され現在まで全国に33の拠点病院が指定された。九大病院では近藤有希子医師と村上裕子薬剤師が担当している。

 これまでに74人から外来の申し込みがあり、56%がうつ病やパニック障害などの精神疾患の薬についてだった。また、持病がある場合、妊娠前に相談する人も多い。「薬を飲んでいるうちは妊娠を諦めた方がいいと思うけれど、もう若くないし...」といった内容だ。近藤さんによると、服用しても問題ないケースが多く、病状に応じて必要量を飲み続けるよう説明しているという。

 一方、妊娠中に飲まない方がいいのがロキソプロフェン、イブプロフェンなどの解熱・鎮痛剤。胎児の動脈管を閉じさせ、血液循環を妨げる恐れがあるという。

 授乳中については「ほとんどの薬に問題はありません」と近藤さん。妊娠中は避けたい解熱・鎮痛剤も、授乳中は飲んで構わない。

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 「誤解」も多いという。妊娠中に薬を飲むと胎児に必ず異常が生じると本人が思い込んでいたり、家族や周囲に言われて服用をやめてしまったりのケースもある。

 原因の一つがインターネット上の情報だ。妊娠中の薬について検索すると、胎児の異常に関するセンセーショナルな書き方がされていたり、古い知識が出回っていたりして影響を受けてしまいがちだ。「妊娠と薬外来」では、東京のセンターから全国データや海外の論文など最新情報の提供を受けて対応している。

 実際、服用の有無にかかわらず全ての妊娠において胎児に先天性異常が生じる確率は約3%とされる。このうち薬によるものは1%で、妊娠全体では0・03%程度と極めて低い。村上さんは「もちろん確率がゼロではないので『絶対に大丈夫』とまでは言えませんが、必要以上に心配することはありません」と話す。

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 インフルエンザについては、同センターなどが今年6月、薬とワクチンに関する調査結果を発表した。

 治療薬のタミフルを妊娠初期に服用して出産した86人のうち、先天性異常の赤ちゃんが生まれたのは1人のみ(約1・2%)。全ての妊娠における先天性異常の確率が3%なので、同センターは「服用のリスクは高くない」と分析する。

 吸入薬のリレンザについても、妊婦の血中に移行する量はごくわずかで胎児に重大な影響を及ぼすことはないという。予防接種のワクチンも「一般的に妊娠中の全ての時期において、安全」としている。

 近藤さんと村上さんは「どんな薬も自分で判断せず、まずは相談を」と言う。長期的に考えると、母親の体調の安定を優先した方が赤ちゃんに良い影響を与えるケースも多く、2人は「妊娠を諦めたり、無理に痛みを我慢したりせず、相談の上でリスクが低いことや服用の必要性を指摘されたら、安心して飲んでほしい」と助言する。

 ●相談の流れ

 「妊娠と薬外来」での相談を希望する人は、以下の手順で行おう。

 (1)「妊娠と薬情報センター」のホームページから問診票を印刷する(2)必要事項を記入してセンターに郵送する(3)最寄りの拠点病院で相談するよう通知が届く(4)拠点病院を訪ねる-。

 (3)の通知では、センターに直接電話する▽拠点病院の「妊娠と薬外来」で相談する▽センターが主治医に回答書を送り、主治医のもとで説明を受ける-の三つの方法が指定される。外来相談と主治医からの回答は有料で、九大病院の場合は1万800円かかる。九州では、宮崎大医学部付属病院(宮崎市)、熊本赤十字病院(熊本市)、鹿児島市立病院(鹿児島市)にも「妊娠と薬外来」が設置されている。

 授乳中の服薬については同センターが電話相談の専用回線=03(3416)0510=を設けている。=2015/11/24付 西日本新聞夕刊=

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