「医療の知恵」貸し出し 九州の図書館、拠点病院と連携 がん情報学び、市民へ

西日本新聞

 九州のがん診療連携拠点病院と公共図書館が、市民への医療情報の提供に向けて連携を強化している。病気や治療法などを調べようと図書館を訪れる市民は多く、病院側が有益な医療情報を図書館職員に教え、図書館の対応力向上を図るなどしている。来年1月には国立がん研究センター(東京)の研究班や福岡県立図書館(福岡市)などが、九州・沖縄の拠点病院と図書館に参加を呼びかけ、連携の充実や拡大を図るためのワークショップを開く。

 福岡県立図書館で11月16日にあった図書館職員向け研修。拠点病院の九州がんセンターなど県内3病院の看護師ら4人が講師を務める講義があった。

 4人が教えたのは(1)各拠点病院にある市民向け無料相談窓口「がん相談支援センター」(2)がん以外の病気の相談窓口(3)インターネットを使った「がん情報」の探し方(4)緩和ケア(5)セカンドオピニオン-など。受講した同県久留米市立中央図書館など14図書館の14人は実際にパソコンで検索し、一人は「相談支援センターなど、初めて知ったことが多かった。図書館利用者にも紹介できる」と話した。

 講義は、国立がん研究センターや九州がんセンターのスタッフが5月、福岡県立図書館に連携を申し入れたのをきっかけに実現。県立図書館も前向きで「がんだけでなく幅広く医療情報を学べる機会にしてほしいとお願いした」と話す。

 九州で先進的に取り組んできたのは長崎市立図書館と地元の拠点病院。2012年から拠点病院の医師らを講師に、がんに関する講演会を年数回、図書館で開くなどしている。

 来年1月25日のワークショップは福岡県立図書館であり、福岡、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島などの各県から拠点病院や図書館の関係者が参加予定。長崎市立図書館のスタッフが「連携の事例」を報告した後、各県単位で連携の内容や方法などを探る見通し。拠点病院側には、知名度がいまひとつのがん相談支援センターを、図書館を通じてPRしたい狙いもある。

 国立がん研究センターの研究班代表の高山智子・がん情報提供研究部長は「今回のワークショップは初の試み。効果があれば他地域でも実施したい」と話している。

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 【ワードBOX】がん診療連携拠点病院

 専門的ながん医療の提供などを担う病院として都道府県の推薦をもとに厚生労働相が指定する。今年4月1日現在、全国で400施設以上あり、うち九州各県の施設数は福岡15▽佐賀4▽長崎6▽熊本8▽大分7▽宮崎3▽鹿児島10。各施設には、だれでも無料で利用できる「がん相談支援センター」があり、専門家が相談に応じたり、情報を提供したりしている。=2015/12/30付 西日本新聞朝刊=

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