性暴力の実相・第3部(1)セクハラ「当たり前」 (2ページ目)

西日本新聞

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 パネルの穴から出された男性社員の水着の膨らみを触って誰かを当てる「股間当てゲーム」、パネルから出た女性の足を男性が触って推理する「大根足ゲーム」、男女がペアになって行う「二人羽織ゲーム」…。

 宴会での“余興”に参加させられたユウコさんを、同僚は笑って見ていたという。このときの写真を記者に見せ、「セクハラを訴えた私がいても変わらない。駄目だと思った」という。結局1年で会社を去った。

 あれから数年。最近、自分のことについて「頭のおかしい新人がセクハラと騒いですぐに辞めた」と社内でうわさされていると、元同僚から聞いた。自分たちを正当化するかつての勤務先の人たちに、嫌悪感は抱かなかったという。

 「私があきらめずに会社と闘っていれば、同僚や後輩の職場環境は良い方向に変わっていたかもしれない」。後悔が頭をよぎる。一方で、現実にはそんな選択肢はなかったとも思う。

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 組織の中で性暴力が起こった時、弱い立場にある人ははっきり「ノー」と意思表示できず、泣き寝入りを強いられるケースは多い。「性暴力の実相」第3部では、企業内などでのセクシュアルハラスメントを描く。

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 ■企業の6割 窓口未設置

 改正男女雇用機会均等法で設置が義務付けられている「相談・苦情対応の窓口」を置いている企業は36・5%にとどまっていることが、労働政策研究・研修機構の調査で分かった。

 無作為抽出した従業員10人以上の企業6500社に調査票を送り、1711社とその女性従業員4654人から回答を得た。インターネットでも5千人に尋ねた。回答者は25~44歳の女性。調査期間は昨年9、10月。

 それによると、セクハラ相談の窓口を設置している企業は全体の36・5%。専門の担当者を配置しているのは12・9%にとどまった。同法は、窓口設置の義務に違反し、行政指導などに従わない場合、企業名を公表できると規定するが、実際に公表された例はないという。

 セクハラを受けた女性が窓口や担当者、上司に相談したケース(494件)のうち、「セクハラ行為者に注意が行われた」のは36・4%、「事実関係の確認が行われた」も29・1%で、「特段の対応は行われなかった」は22・7%だった。

 相談の結果、女性が「上司や同僚から嫌がらせを受けた」も5・7%あり、「解雇や退職強要など不利益を受けた」という深刻な二次被害も3・6%あったという。

◆セクシュアルハラスメント 仕事上の地位や権限を使って食事やデートに誘うなど性的な要求をし、言うことを聞かないと不利益を被ると圧力をかける「対価型」と、性的な言動で職場環境に悪影響を与える「環境型」のセクハラがある。2014年度、労働局に寄せられた男女雇用機会均等法に関する相談2万4893件のうち、45%にあたる1万1289件がセクハラに関する内容だった。

=2016/03/16付 西日本新聞朝刊=

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