13カ月の生涯「誰かの光に」 福岡市の小井手さん 娘との日々発信 (2ページ目)

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 心臓や胃ろうの手術を乗り越え、生後4カ月で退院した。自宅でも常に酸素吸入やたん吸引など医療的ケアが必要だった。それでも毎日楽しく過ごす一家にとって、周囲から「大変ね」と同情されたり、保健師に「同じ立場の親と友達になってみては」と助言されたりすることが不思議だった。孤立、苦労している親、と思われているようだった。「たん吸引も胃ろうへの注入も、子どもの鼻水を取ったり弁当を作ったりするのと同じ。大変そう、という先入観の見えない壁があるのではないか」

 それは、意外な形で確信に変わった。剛志さんと優希さんは、結咲ちゃんのありのままの日々をインスタグラムで「yusakiiii_chan」というユーザー名を使って発信していた。大濠公園に行ったこと、寝返りができるようになったこと、剛志さんがサンタクロースに扮(ふん)し楽しませたこと。「きょう一日を結咲が生きることで、誰かの光になるかもしれない」と思ったからだ。

 投稿には、病気や障害のある子を育てる親からコメントが寄せられるようになった。〈子育てはみんなそれぞれ。「病気イコール大変」と受け止められたくない〉〈口唇口蓋裂のわが子を見かけた人に「あら、かわいそう」と言われた。500人に1人と高確率で発症するのに〉

 周囲の無意識に出る言葉や一歩引いた態度に、傷ついている人も多かったのだ。

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 結咲ちゃんは1歳の誕生日をお祝いした翌月、容体が急変した。両親に見守られながら息を引き取ったときは、達成感に満ちた表情に見えた。悲しい別れにしたくない。葬儀は「お別れ会」とし、フラワーシャワーで見送った。

 その約2週間後、2人は福岡市中央区大名のラジオ局にいた。お笑いタレントの剛志さんが担当する番組で、結咲ちゃんの生涯を語ったのだ。今後も病気や障害のある子のいる家族の思いをネットなどで発信し続け、多くの人に知ってもらい、「見えない壁」をなくしていこうと決めた。

 インスタグラムではこんなメッセージもつづる。「病気とともに家族になる。そんなに悪くないですよ」


=2016/03/29付 西日本新聞朝刊=

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