13歳漁師、島守る 入学、中学校5年ぶり復活 長崎・江島の柏木さん

西日本新聞

 長崎県五島灘に浮かぶ江島(えのしま)(同県西海市)で5年間休校状態だった中学校に7日、1人の新入生が入学した。2010年に和歌山県から移住し漁師になった柏木世次(せいじ)さん(52)の長男聖矢さん(13)。既に父と漁に出る一人の漁師でもある。「この島で一人前になってずっと生きていきたい」。小さな島に暮らすことを決意し、どんな荒波も乗り越えていくつもりだ。

 江戸時代から捕鯨基地として栄えた江島は、西海市中心部から30キロの五島灘に浮かぶ離島。昭和30年代には約1300人が暮らしたが現在はその1割にまで減った。唯一の学校の江島小中学校は2010年度に中学生1人が卒業した後、柏木さん方の3兄弟が小学校に通うだけだった。

 聖矢さんは小学4年から父の漁を手伝う。初めは船の上で立つのがやっと。最近は船酔いもしなくなり、父と沖に出て1日で伊勢エビ30キロを水揚げしたこともある。入学式前日の6日、漁港近くの作業小屋で破れた網を器用に補修しながら「まだまだですねえ」と照れ笑いした。

 学校には同級生も先輩もいないが、寂しさはないという。島ぐるみで大人たちが家族のように関わってくれるからだ。7日の入学式には島民ら24人が駆け付けた。柳堂圭章校長が「島の皆さんが望んでいた入学。大きく成長しましょう」と語り掛けると、聖矢さんは「勉強に部活動、漁の仕事を頑張る。将来は父を超えるすごい漁師になりたい」と夢を語った。

 入学式では言わなかったが、聖矢さんにはもう一つの夢がある。それは「大将になる」こと。過疎化が進む島を自分の力で引っ張りたい、との思いが次第に強くなってきた。「周りに同世代がいない分、僕が地域の先頭に立たないといけませんから」。家族や島民に見守られ、13歳の挑戦が始まった。

=2016/04/08付 西日本新聞朝刊=

PR

社会 アクセスランキング

PR

注目のテーマ