避難生活 「手当て」でケア 血流促進、リラックスも

西日本新聞

 熊本地震で避難生活が長引き、不眠を訴えたり、体調を崩したりする人が増えている。手を当てるだけでできる体のケアを「日本セラピューティック・ケア協会」(福岡県太宰府市)の秋吉美千代理事長(77)に教えてもらった。

 英国赤十字社考案の同ケアは、手で体をなでるだけの「手当て」。血流を促進し、心身のリラックス効果が期待できる。秋吉さんたちは東日本大震災や福岡沖地震の被災地で被災者にケアを施してきた。2011年9月から訪れている福島、宮城両県では「不眠に悩まされていたが、このケアでぐっすり眠れたという人もいた」と秋吉さん。

 肺血栓塞栓(そくせん)症(エコノミークラス症候群)が気になる人は、足の血流を良くするため、足の先から心臓の方向になで上げよう。足首から足の付け根にかけてなでるだけでも、静脈の流れが良くなり、むくみが取れるという。手のぬくもりを伝えるイメージで、手のひらが浮かないように手のひら全体でなでること。100回を目安にするといい。

 同様に、腰や肩をなでるのもお勧め。腰をなでるときは指を下向きにして手のひらを当てる。背骨に沿って骨盤辺りから背中の真ん中辺りまで30センチほど、手のひらを上下させる。肩は、指を上向きにしたまま手のひらを肩甲骨に添え、鎖骨にかけて50回ほどなでる。次第に体が温まってくるという。

 一人でもできるが、秋吉さんは二人でケアし合うことを勧める。福島県南相馬市で被災した60代女性はケアを受けながら「自分だけ助かって罪悪感があり、つらいと言えなかった」などと打ち明けた。秋吉さんは「肌が触れ合うと、精神を安定させるオキシトシンというホルモンの分泌が盛んになる。コミュニケーションが促進され、心のマッサージにもつながる」と話している。

 ●ふくらはぎ動かそう エコノミー症候群を防ぐ

 避難所生活や車中泊を続ける被災者の中に、呼吸困難などを引き起こすエコノミークラス症候群で亡くなる人が出てきた。同じ姿勢を長時間続けることが原因だが、避難生活は長期化も予想される。福岡市の国立病院機構九州医療センターの小野原俊博医師(血管外科)に具体的な予防策を聞いた。

 Q どういう病気ですか。

 A 長時間同じ姿勢でいると、ふくらはぎや膝などの静脈に血栓が生じる。それが肺の血管で詰まると、呼吸困難や胸の痛みなどの症状が現れる。

 Q 予防法は。

 A 「第2の心臓」といわれるふくらはぎの筋肉を動かすこと。歩いたり、ラジオ体操などの全身運動をしたりするといい。避難所などの狭い場所では、いすに座ったままかかとを上げ下げしたり、爪先立ちをしたりするだけでも効果がある。階段の上り下りも有効だ。

 Q 動けない人は?

 A マッサージもいい。運動が難しい人や寝たきりの人は、介助者が足首を動かしてあげればふくらはぎの筋肉を動かせる。ただ、ふくらはぎが急に腫れてきた場合は医師に相談してほしい。

 Q 他に注意点は。

 A こまめに水分を取ろう。避難所では、トイレに行く回数を減らすために水分を取らない人がいるが、脱水症状になると血栓ができやすくなる。飲み水が不足しているなら、イオン飲料や経口補水液でも良いが、糖分が多いため、糖尿病患者は注意が必要だ。


=2016/04/20付 西日本新聞朝刊=

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