避難用品 3種類準備を 枕元、非常袋、備蓄3日分

西日本新聞

 熊本地震では、被災地の物資不足がなかなか解消せず、避難所で生活する人たちは不便な暮らしが続いている。九州全域で余震が続く中、「もしも」に備え、私たちはどんな準備をしておけばよいのか。防災士や暮らしの知恵に詳しい主婦に、(1)そのまま逃げられるよう枕元に置いておくもの(2)持ち出せるよう非常袋に入れておくもの(3)避難生活に備えておくもの-の3段階に分け、準備する物のポイントを聞いた。

 〈枕元に置くもの〉

 今回、前震(14日)と本震(16日)の発生は夜間や未明だった。日本防災士会久留米支部長の江藤正剛さん(68)=福岡県久留米市=は、枕元にスリッパや靴を備えるよう呼び掛ける。屋内でもガラスなどが散乱し、避難口まで行くのにけがをする恐れもあるためだ。「逃げ出す際、足の保護は最優先です」

 月刊誌「婦人之友」の愛読者でつくり、暮らしの知恵を学び合う「福岡友の会」。会員の一人で、阪神大震災のとき自宅が被災した主婦、山路英子さん(68)=福岡市城南区=はいつも笛を持ち歩く。「閉じ込められた際に大きな音で助けを求められる」からだ。

 いざ地震が来たらどうするか。発生時はまず、テーブルの下などに身を隠す。揺れが収まったら玄関を開けて避難口を確保し、徒歩で避難する。子連れの場合は、危険に備えて両手が使えるよう、抱っこではなくひもなどを使っておんぶする。江藤さんは「自宅や勤め先から避難所までの経路確認を、家族で話し合い、実際に歩いてみてほしい」と助言する。

 〈非常持ち出し袋〉

 建物の倒壊の恐れがある場合は着の身着のままで逃げるが、それ以外は非常持ち出し袋を持っていく。火災防止のため、電気のブレーカーを落として避難する。

 江藤さんは「袋の中身は市販品では不十分」と指摘する。高齢者や持病がある人は毎日飲む薬や入れ歯、乳幼児のいる世帯は紙おむつやお尻拭きなど、家族の構成に合わせて必要な物を準備する。携帯電話を充電できる手巻き式のラジオ兼懐中電灯なども重要。レジ袋は、トイレや骨折時の応急手当てなどに使える。

 重要なのは「背負える重さ」であること。福岡友の会会員で主婦の牧野古都美さん(75)=同市南区=は5年前に準備した非常持ち出し袋が、体力の衰えに伴い背負えなくなっていた。「そろえただけで満足せず、定期的に背負ってみることが必要です」。水は500ミリリットルのペットボトルで準備すると、重いときは置いて行くなど、重さの調整がしやすい。食料も、持てるだけ持っていく。

 被災時に誰が自宅にいるか分からないため、家族全員が持ち出し袋の場所を把握しておくことも大切だ。

 〈避難生活への備え〉

 避難所は基本的に物資は十分ではない。避難が必要なくても、停電や断水の恐れがあるため、江藤さんは「3日間は自力で生き延びられる備えをして」と指摘する。自宅には非常持ち出し袋とは別に、生活に必要な物を3日分ほど用意しておきたい。飲料水は一人当たり一日3リットル。保存食は日頃も使える缶詰やレトルト食品などがよい。

 牧野さんはラップと手ぬぐいを備える。ラップを使えば皿を洗わずに済み、体に巻けば保温効果も。手ぬぐいはタオルよりかさばらず、包帯代わりにもなる。風呂の残り湯をペットボトルに入れ、トイレに置いておくと断水対策になる。

 山路さんがお薦めするのは、あめだ。「先の見えない避難生活で、あめの甘さが不安を和らげてくれた」という経験談を聞いた。空気が乾燥し、ほこりっぽい避難所で喉を潤す効果もあるという。


=2016/04/21付 西日本新聞朝刊=

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