【聴診記】避難所でも体動かそう

西日本新聞

 熊本地震が発生して14日目の27日。熊本県益城町のある避難所を訪れると、フロアには所狭しと寝床が設けられ、多数の避難者や支援者で混雑していた。そんな中、狭い通路で壁に背を委ね、床におしりをどっしりと下ろして、じっと座っている高齢の女性がいた。

 失礼ながら肥満体で、マスクを着用。約10分過ぎても同じ姿勢だったので、あいさつもそこそこに「時々は体を動かしていますか」と尋ねてしまった。すると女性はこちらを見て「動かしてますよ」とはっきりとした声で答えてくれた。確かにその後、立ち上がって別の場所に移動された。

 私が声を掛けたのは「生活不活発病」のことを素人ながら思ったからだ。生活不活発病とは「動かない」状態が続くことにより、心身の機能が低下して「動けなくなること」だ。

 「避難所生活で健康が心配なのは、まずはお年寄り。生活不活発病に見舞われやすいからです。避難所は狭かったり、他者への気兼ねがあったりで動きにくい状況。自宅でしていた家事などの仕事もなくなって動く機会が減り、誘発しやすいのです」。そう事前の取材で解説してくれたのは、日本赤十字社福岡県支部の坂本峰子看護師。東日本大震災に襲われた岩手県陸前高田市の避難所で支援活動をした経験がある坂本さんは「陸前高田の避難所でも、歩いてトイレに行っていた高齢女性がずっと座ったままだったため、歩けなくなり、車いすとおむつが必要になってしまった例がありました」とも話していた。

 予防法も教えてもらっている。坂本さんは「早期対応が大切」とし、ポイントとして(1)昼間は横にならないで動くようにするが、転倒しやすいため注意する(2)動きやすいように、身の回りを片付けておく(3)気分転換を兼ねて散歩や運動をする(4)避難所でも何らかの役割を探す(5)ボランティアによる必要以上の手助けを避ける-を挙げた。


=2016/04/30付 西日本新聞朝刊=

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