被災の障害者支えて

西日本新聞

 大規模災害時は自力での避難生活が難しい障害者。熊本地震では、介護などが必要な被災者向けの「福祉避難所」が足りず一般避難所で過ごす人や、周囲に遠慮して避難所に行かない人もいる。障害者を支えるにはどんな配慮が必要か。当事者団体や相談機関などへの取材を基にまとめた。

 ◆肢体不自由 応急担架作る

 ぬれたコンクリートや砂の上は義足やつえが滑りやすい。注意して誘導する。

 車いすを押す際、段差は前輪、後輪を片側ずつ持ち上げて越える。上りは前、下りは後ろを向かせ、ゆっくり進む。坂も同様の向きで。階段は2、3人で持ち上げる。車いすが使えない場面では幅広いひもなどで背負う。毛布やシーツなどで作る応急担架=イラスト=は、けが人や高齢者の運搬にも有効だ。

 車いすや両松葉づえを使う人がいる避難所では幅80センチ以上の通路を確保。食料や水はできるだけ本人の所まで運ぶ。

 ◆視覚障害 生活は壁側で

 声掛けは正面から。誘導は押したり引っ張ったりせずに、肘を貸して半歩前を歩く。段差や障害物は手前で一度止まり、上りか下りかなどを具体的に伝える。

 壁があると方向をつかみやすい。避難所の生活場所はできるだけ壁側に。屋外の仮設トイレは、移動しやすいように順路をロープなどで示す。文字だけの情報提供も多いので、音声でも繰り返し知らせるようにする。

 盲導犬などの補助犬と使用者が引き離されないよう配慮する。許可なく補助犬に食べ物を与えたり、触れたりしない。

 ◆聴覚障害 文字で伝えて

 行方不明の聴覚障害者を捜すときは懐中電灯などの光で照らすと、物をたたいたり、笛を鳴らしたりして応えられる。

 避難所では、炊き出しなどの重要な情報は大きく、分かりやすい内容で文字で掲示する。音声放送などがあったときは紙や手のひらに書いて伝える。助けが必要な障害者や高齢者、手話や要約筆記ができる人は、目印として腕章やベストを着用するとよい。

 聴覚障害者の意思伝達の方法は個々で異なり、手話や文字、身ぶり、口の動きを読むなどの方法があると知っておこう。近づくときは相手の視界に入るか、軽く触れて合図して。

 ◆精神障害 冷静に接する

 「つらかったね」と話を聞くだけでも不安が軽減される。混乱して大声が出る、状況に合わない行動をするといったことがあっても怒らず冷静な態度で接し、分かりやすい言葉で必要な情報を伝える。家族が「迷惑を掛けるから」と避難所に行くことをためらうケースもあるので「一緒に行こう」と声を掛ける。

 ◆発達障害、知的障害 具体的指示を

 本人がけがや痛み、体調不良に気づかなかったり、伝えられなかったりすることがあるので、丁寧な観察と聞き取りを心掛ける。

 視覚的な刺激に強く反応する特性があれば、避難所のスペースを段ボールなどで間仕切りすると落ち着く。指示を伝えるときは、してほしいことを具体的に。「そっちへ行っては駄目」ではなく、「このシートに座ってください」と言うようにする。

 避難所でもできるだけ安定した生活リズムで過ごせるように、当面の新しい日課を提案する。空いた時間にするパズルやゲームなどがあれば役に立つ。

 発達障害者に関する支援の情報は「発達障害情報・支援センター」(埼玉県)のホームページhttp://www.rehab.go.jp/ddis/内の「災害時の発達障害児・者支援について」というページに詳しく載っている。


=2016/05/03付 西日本新聞朝刊=

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