減災 収納に工夫 食器 かごに入れる 棚の扉 ストッパーを

西日本新聞

 熊本地震の被災地では、多くの人が片付け作業に追われている。家具が倒れたり、窓ガラスが割れたりして、足の踏み場もない家をどう片付けたらいいのか。今後、どんな備えが有効なのか。専門家に聞いた。

 よく指摘されていることだが、「片付け前に、被災状況が分かるように写真を撮りましょう」とあらためて助言するのは危機管理教育研究所(東京)の代表、国崎信江さん。地震後、熊本県益城町の防災アドバイザーに任命され、支援にあたる。被災の記録は罹災(りさい)証明書の発行や地震保険の請求の際に役立つ。

 片付け中のけがを防ぐため長袖長ズボンを着用し、底の厚い靴を履く。ゴム手袋や軍手ではガラスを防ぎにくいため、突き刺し防止用の革手袋がよい。地震後は電気が使えないことが多いため、ほうきとちり取りも欠かせない。

 自宅で生活するには、まずは就寝スペースを確保する必要がある。「家具が倒れたり上から物が落ちたりしないか、出口までの経路が安全かどうかもチェックして」と国崎さん。細かいガラス片は見落としがあるかもしれない。粘着テープで取り除き、念のためブルーシートや新聞紙を敷こう。

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 仙台市で東日本大震災を経験した整理収納アドバイザー、渋川真希さん=東京=は「物を減らし、家の中を片付けておくことは、自分や家族を守ることにつながる」と指摘する。物が散らかっていると避難を妨げ、けがの元になる。渋川さんは、不要な物を捨て、必要な物が誰でも分かるように収納する「防災減災片付け」を提案する。

 渋川さんの場合、自宅マンションは「大規模半壊」と認定されたが、防災対策をしていたため室内の被害は最小限にとどまり、発生当日から自宅で過ごせた。「当時は2人の子どもも小さく、倒壊の危険が少なければ、避難所より自宅の方がストレスも少ない。そのためには、家をシェルターにしておく必要がある」と語る。

 まずは耐震対策。大きな家具は転倒防止用品や突っ張り棒で固定し、食器棚などの開き戸や引き出しは、中身が飛び出さないようフックやストッパーを付ける。ガラス部分には、飛散防止フィルムを貼り、電子レンジやテレビなどの家電には、耐震マットが有効だ。

 収納の仕方にもこつがある。鍋など重い物は下段に入れ、重心を下げる。食器は滑り止めシートを敷くほか、かごを使った収納も割れ防止に有効だ。本棚は、各段の手前にゴムシートを敷いてテープで貼り、飛び出しを防ぐ。「書類はファイルボックスに分類していたので、片付けが楽だった」と振り返る。

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 在宅避難の場合、食料や生活用品の備蓄が欠かせない。渋川さんは、「缶詰や乾物など、普段食べているものを1週間分は用意した方がいい」と話す。

 東日本大震災のとき、渋川さんの住んでいた地区は電気が3日間、水道が5日間、ガスが20日間止まった。ガスは復旧までに時間がかかるため、カセットこんろや電気ケトルを用意していたことが功を奏した。備蓄していた乾パンやフリーズドライ食品など非常食は食べず、パックご飯とスープの素で雑炊、缶詰と小麦粉でお好み焼きなどを作った。「震災前の生活に少しでも近づけることが、気持ちの安定につながった」

 調理時は使い捨て手袋を使い、食器にはラップをかけ、鍋の汚れは拭き取れば、重曹とわずかな水で洗える。防災用品は、気付いたら賞味期限が切れていた、となりがち。缶詰やレトルト食品を多めに備蓄し、普段使いながら補充していく「ローリングストック法」がお勧めだ。


=2016/05/07付 西日本新聞朝刊=

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