教育はどこへ特集(2)6・3制見直し現場手探り 「子どもへの利点」未知数

 国が始めたこの新制度、子どもたちにとって本当にいいものなのだろうか? 公立小中一貫校を増やそうと、国が4月導入した「義務教育学校制度」。この制度を活用し、本年度開校した学校は全国では22校。九州では1校しかない。地域や学校の選択はなぜ分かれたのか。導入に踏み切った佐賀県大町町と、今回は見送った福岡県宗像市のケースから考えた。

 九州で唯一、新制度を導入した大町町は人口約6800人。炭鉱閉山後、人口は減少の一途をたどり、小中学校は各1校に。2011年度から、隣接する小中学校の連携、一貫教育に取り組んできた。

 小中学校ではこれまで、現行「6・3制」を維持しながら、緩やかな「4・3・2制」を導入。特例制度を活用し、小学5、6年で学ぶ「外国語活動」に、中学校の英語教諭を招き、授業を進めたりした。新制度導入により、算数や国語などでも、学校裁量で専門指導ができるようになった。

 「子どもたちの成長に向け、新たなハードルを作りたい」。今春開校した町立小中一貫校「大町ひじり学園」の松尾宏校長は話す。

 一方、制度導入を見送った福岡県宗像市は人口約9万7千人。福岡市と北九州市の中間にあるベッドタウンで、保護者の教育熱も高い。同市では、離島を含む7地区で小中学2~4校のグループを作り、11年度から全市で小中一貫教育に取り組む。大町町と同じように、緩やかな「4・3・2制」を導入している。

 同市には「兼務教員」と呼ばれる先生がいる。田崎衣里子講師(40)もその一人。小中学校の教員免許を持ち、この2年間、3小中学校を行ったり来たり。小学校では全教科、中学校では補助教員として数学と英語も教えた。

 「先生、ここが分からんけど」。中学校の生徒からは、そうよく声を掛けられる。小学校から顔見知りなので、生徒は気軽に質問でき、つまずきの解消につながっている。悩みを抱える生徒には、心強い相談役にもなっている。

 小中学校の教員同士での指導法の学び合い、意識改革効果も大きいという。

 ではなぜ、宗像市は導入を見送ったのか。

 「新制度のメリット、デメリットがまだ見えにくい。各地の動向も見ながら今後、検討していきたい」。同市教委の高木陽一郎・指導主事はそう話す。

 「4・3・2制」を導入し、確かに小中学校の段差は低くなり、「中1ギャップ」は解消される傾向にある。その半面、高校と小中学校の「高1ギャップ」も懸念される。

 「今の流れは、段差をなくそう、なくそうとしている。でも、この段差には、子どもたちが乗り越えるべき、何か大切な意味もあるのではないか」

 そう指摘する関係者もいて、地域は悩ましい選択を迫られていた。

=2016/04/30付 西日本新聞朝刊=

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特集「義務教育学校」導入(3) 識者こう見る

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