熊本県内 災害拠点病院 肺炎 地震後に急増 避難長期化 口腔ケア難しく

西日本新聞

 熊本地震後、熊本県内の災害拠点病院になっている国立病院機構熊本医療センター(熊本市中央区)で、肺炎による入院患者数が前年同期と比べて倍増していることが西日本新聞の取材で分かった。熊本赤十字病院(同市東区)でも2割近く増加。地震による関連死疑い20人のうち、熊本県外に転院後に死亡した男性(87)は誤嚥(ごえん)性肺炎だったと確認された。避難生活が長期化する中、歯磨きなどの口の中のケアが不十分になると、特に高齢者は口の中の細菌が気管に入って引き起こす誤嚥性肺炎の危険性が高まるとされ、専門家は注意を呼び掛けている。

 西日本新聞は18、19日、熊本市などの五つの災害拠点病院に肺炎の入院者数を取材。熊本医療センターには4月14~30日に28人が入院し、前年同期(14人)の2倍に上った。震災関連死かどうかは不明だが、うち3人が死亡した。週ごとに集計している熊本赤十字病院は4月17~30日の入院は46人で、前年同期(39人)より約18%増。死者はいなかったという。

 熊本医療センターの入院患者28人のうち、27人が65歳以上。熊本赤十字病院は「集計はできていないが、高齢者が多い印象」という。通常、肺炎を発症する人は冬に多いとされるが、「この時期に増えている。避難生活を続ける中で口腔(こうくう)ケアが十分にできず、体力や抵抗力が低下した高齢者が誤嚥性肺炎を起こしている可能性がある」とみる。

 済生会熊本病院(熊本市南区)や阿蘇医療センター(熊本県阿蘇市)、矢部広域病院(同県山都町)は「肺炎が増えているという印象はない」などとの回答だった。

 神戸常盤大短期大学部の足立了平教授(口腔保健学)によると、阪神大震災の関連死921人のうち約24%を肺炎が占め、その多くが誤嚥性肺炎とみられるという。東日本大震災でも危険性が指摘された。足立教授は「誤嚥性肺炎は重症化すれば死を招く恐れがあるが、継続的な保健指導と啓発で命を守ることもできる」とケアの重要性を訴える。


=2016/05/22付 西日本新聞朝刊=

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