がん情報 図書館が発信 関心高め早期発見、治療へ 飯塚 桂川 館内に特設コーナー

西日本新聞

 飯塚図書館(飯塚市飯塚)が、がん関連の蔵書約140冊を集めたコーナーを館内に設置した。全国的ながん患者の増加を受け、病気への関心を高めて早期発見・治療につなげる試みだ。桂川町立図書館(同町土居)も同様のコーナーを設けたほか、設置を検討している図書館もあり、がん情報発信の取り組みが筑豊の図書館で広がりつつある。

 飯塚図書館のがんコーナーに並ぶのは、抗がん剤の副作用を記した専門書や、在宅治療が可能な医療機関の紹介本、患者の闘病記など。医療機関が発行する冊子も無料配布している。

 図書館によると、国の「がん診療連携拠点病院」に指定された飯塚病院(飯塚市芳雄町)から「がん関連の情報発信に協力してほしい」と要望があり、今年初めにコーナーを設置した。

 県によると、飯塚市の2013年度のがん検診受診率は胃がん8・9%、肺がん10・3%。県平均をわずかに上回っているが、ともに県内60市町村中40位で高いとはいえない。飯塚図書館のコーナーには、県内17のがん診療連携拠点病院内にある「がん相談支援センター」の所在地や電話番号を掲示。がん検診の受診などを呼び掛けている。

 4月には飯塚病院と、同じ拠点病院の社会保険田川病院が、4市3町(飯塚、田川、直方、嘉麻、桂川、添田、香春)の図書館担当者と意見交換。これを受けて桂川町立図書館は今月中旬、約50冊のがん情報コーナーを作った。直方市立図書館も設置を検討中という。

 飯塚図書館にはがん患者の利用者から「がんに関心を持つ人が増えたらうれしい」と歓迎する声も寄せられた。大石俊一館長は「筑豊全域で取り組んで、がんで苦しむ人を地域ぐるみで支えたい」と話した。

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 ●目立たせたいけど 見られたくない人も 悩ましい「設置場所」 病院と連携、最新情報を常に

 図書館のがん情報コーナーで悩ましいのが設置場所だ。目立つ場所で利用を促すか、病気を知られたくない人に配慮して目立たない場所に設けるか、意見は分かれる。

 飯塚図書館は館内奥のあまり目立たない場所にがんコーナーを設置。3、4月に来館者約200人にアンケートしたところ、73人が「もっと目立つ場所が良い」と回答し、97人が「今の場所で良い」と答えた。大石俊一館長は「多くの人の目に入る場所に置きたいが、患者や家族の中には病気を知られたくない人もいるようだ」と話す。桂川町立図書館も、入り口からは離れた場所に置いた。

 設置を検討する直方市立図書館の野口和夫館長は「がんに特化するのではなく、がんも含めた医療全般のコーナーにすれば、見られたくないという意識は緩和するのでは」と話す。

 新しいがん治療法への対応も求められる。飯塚図書館のアンケートでは「蔵書が古いイメージで、がん情報を図書館で得る発想はない」という意見があった。大石館長も「がん関連書籍の“賞味期限”は5年。常にアンテナを張り、最新情報の書籍をそろえないといけない」と語る。各病院から新しい研究成果や治療実績の情報を提供してもらい、対応したい考えだ。


=2016/05/26付 西日本新聞朝刊=

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