業界団体の自民回帰鮮明 政権交代で現職から離反、票の見返り期待も 参院選大分選挙区

西日本新聞

 22日公示の参院選で、大分選挙区(改選数1)でも業界団体の自民回帰が鮮明になっている。民進党現職の足立信也氏(58)が再選した2010年参院選は民主党(民進党の前身)の政権下だったこともあり、足立氏を推薦したり、民主にも顔を立てたりする団体が多かったが、今回は高い支持率を誇る安倍晋三首相(総裁)率いる自民党にほぼ集約。「票の圧力」で、利益誘導を有利に進めたい業界団体の本音が透ける。

 「自民党は安定政権を目指している。ぜひ協力をお願いしたい」。5月28日、大分市のホテルであった県社会保険労務士会の会合。この日大分入りし、情勢について県連幹部と意見交換した茂木敏充選対委員長は、その足で同会の懇親会に顔を出した。

 県内の社会保険労務士でつくる同会は3月に自民新人の古庄玄知(はるとも)氏(58)の推薦を決定。これまでは「現職を推す」のが基本線だったが、幹部は「われわれの主張をくんで法案を作り、実現してくれるところを応援する」と、古庄氏への支援理由を説明する。

 10年に足立氏を推薦した県医師会の政治組織「県医師連盟」も1月に早々と古庄氏の推薦を決めた。外科医でもある足立氏を個人的に応援する医師はいても、「決定過程でもめることはまったくなかった」(関係者)という。民主党との関係強化を模索して内部で意見対立が露呈した6年前の参院選での“遺恨”に終止符を打った。

 政権与党を支持するか、長年の関係を重視するかで揺れ、10年の参院選は「自主投票」で臨んだ農協の政治組織「県農協農政推進本部」も1月に古庄氏の推薦を決めた。組合員の間には、2月に署名された環太平洋連携協定(TPP)や農協改革への不満も渦巻いているが、「選挙に協力した上で政策を提案し、働き掛けていく」と幹部。自民の支持基盤だった各種業界団体の回帰が進む。

 古庄氏の元にはこれまで約100団体から推薦状が届いており、後援会関係者は「県内の組織はほぼ網羅した」と自信を見せる。団体側からは「応援するからにはそれなりの見返りがないと」との声もあり、選挙の支援と引き換えに、補助金投入や業界に有利な政策実施に期待を寄せる。

 とはいえ、業界団体の集票力に陰りが見えるのも実情。ある候補者周辺は「推薦状が届くかどうかで一喜一憂しやすいが、どこまで票に結びつくか。もはや昔のような組織戦の時代ではない」とも語る。

=2016/06/04付 西日本新聞朝刊=

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