連載「決戦さが」(上) 与党 知事選のしこり解消図る

西日本新聞

 「佐賀を良くしていくと考えたとき、農業抜きでは考えられない。どうしていくべきか、ご指導をいただきながら頑張っていきたい」

 唐津市内で5月21日にあったJAからつ合併10周年の祝賀会。自民現職の福岡資麿氏(43)=公明推薦=はこう声を高め、頭を下げた。歓談に移ると、硬い表情で県農政協議会の幹部に歩み寄り、一言二言交わしては「よろしくお願いします」。ビール片手に各テーブルを腰を深く折って回った。

 県農政協は準組合員を含めて12万人を抱える県内最大の政治団体。長く自民党県連の支持基盤だった。しかし、昨年1月の知事選で亀裂が生じた。党中央は県農政協の意向を無視して前武雄市長を擁立。県農政協は告示直前に知名度のなかった山口祥義氏を担ぎ出し、集票力をフルに発揮して約4万票の大差で初当選させた原動力になった。

 前武雄市長を支援した福岡氏は、県農政協との関係が冷え切り、党県連会長の座を引責辞任。背景には党の環太平洋連携協定(TPP)への対応もあった。

 以来、福岡氏は再生を期す参院選に向けて関係修復に腐心。小まめにJAの支所単位で国政報告会を重ねてきた。自民党県連幹部は「県農政協の本体は厳しいが、地域支部からは個別に推薦を得たい」と話す。

 2日、佐賀市内であったJA県女性組織協議会の役員経験者の昼食会。夫婦で出席した福岡氏に声が掛かった。「応援する」。複数の地域支部も福岡氏への推薦方針を決めている。

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 福岡氏は昨年8月に党の公認を受け、9月には県連が選対本部を設置。10月には内閣府副大臣に就任し、4月に開いた石破茂地方創生担当相の講演会には約2200人が集まった。

 「政治を志して13年、佐賀を歩き続けてきた。相手はこれから佐賀の声を聞くという。そういった方に負けるわけにはいかない」

 5月29日に佐賀市であった必勝決起大会。福岡氏は同10日に立候補予定者になったばかりの奈良県出身の民進元職、中村哲治氏(44)を強く意識したあいさつで「再び国政に送っていただくため力を頂きたい」と支援を訴えた。

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 佐賀市多布施1丁目にある福岡氏の後援会事務所には、壁一面に企業・団体から集めた推薦状が所狭しと並ぶ。推薦状は初当選した6年前の600枚を超える勢いで、陣営は次点に11万票差をつけた初当選時からの上積みを目指す。

 一方、民進党の中村氏も「自民1強」の状況に対抗し、市民団体を挟んで共産党との共闘態勢を築き、野党統一候補として決戦に臨む見通しだ。

 自民党県連の土井敏行幹事長は話す。「野党統一候補は脅威だが、県民が共産党との野合をどう見ているか判断してくれると思う。こちらは着実に団体や支援者回りを続けるだけだ」

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 参院選は22日に公示される。佐賀選挙区(改選数1)の与野党対決の構図を報告する。

=2016/06/05付 西日本新聞朝刊=

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