世論調査対象ケータイにも 若者の動向把握へ加速 居住地特定など課題

 今夏の参院選から「18歳選挙権」が導入されるのに伴い、政党などが情勢把握のために行う世論調査の対象を、従来の固定電話に加えて携帯電話にも広げる動きが加速しつつある。携帯電話やスマートフォンしか持たない若年層の“心中”にアプローチするためだ。ただし無作為にかけるだけでは居住地が特定できないなど、携帯ならではの課題も浮かび上がる。

 参院選公示まで約1カ月に迫った5月下旬、ある政党が福岡県内で電話世論調査をした。政党や福岡選挙区立候補予定者の支持率を探るのが狙い。衆院選の県内11小選挙区ごとに千件前後、県全体で約1万2千件も集めたものの、党関係者は「青年層の情勢把握はほとんどできなかった」。従来なら高い精度が期待できるサンプル数だが、固定電話に限られていたからだ。

 調査はコンピューターで無作為に発生させた固定電話番号にかける方式が主流。市外局番で回答者の地域を絞れる利点がある。

 与野党や議員個人などから世論調査を請け負うテレマーケティング会社、グリーン・シップ(東京)は今、携帯電話にも対象を広げる新システムのテストを重ねている。無作為に携帯にかければ全国各地で着信されるため、自動音声で電話をかけ、まず郵便番号を入力してもらって居住地域を特定。その地域の候補者名などを選べるようにする。

 スマホや携帯しか持たない人が多い18~19歳が有権者になるのに加え「固定電話を解約して、携帯だけに切り替える家庭も増えつつある」と担当者。政党からも携帯を含めた調査を打診されており、参院選から本格稼働できるよう対応を急ぐ構えだ。

 携帯電話への世論調査を実験した日本世論調査協会(東京)などは昨年3月、その結果をまとめた。20代の回答が多く得られた一方、男女比は2対1と偏った。女性は知らない番号からの着信を警戒する傾向が強いためとみられる。

 福岡市内在住の50代男性会社員は日曜の5日午前、散歩中に携帯が鳴った。表示された相手の番号は「0120」で始まるフリーダイヤル。「自動音声による参院選の世論調査だった。長くなりそうだったので約1分で切った」と言う。

 そもそも運転中で取れないケースも想定され、答えてもらう工夫も求められそうだ。協会事務局は「いずれは固定電話と携帯の普及率が逆転しかねない。従来の方式を補完する手法として、研究を重ねる必要がある」と話す。

=2016/06/07付 西日本新聞朝刊=

関連記事

PR

古代史講座

  • 2021年9月22日(水)
  • アクロス福岡 2階セミナー室2

PR