地域の視線(1) 安全保障 基地の街、民意まだら

西日本新聞

 佐世保市中心部のアーケードで12日、約950人の隊列が一糸乱れぬ行進を見せた。今春入隊した若者を中心とした自衛隊パレード。小銃を抱えた隊員らが通りを埋めた。陸上自衛隊が毎年秋に実施しており、2年前から海上自衛隊も加わり大規模化。今年は米国、インドの海軍音楽隊も参加し国際色も豊かになった。

 明治時代に海軍鎮守府が置かれて以来、防衛の拠点であり続ける佐世保。させぼ四ケ町商店街協同組合の竹本慶三理事長(66)は、長年自衛隊とともに町おこしをしてきた自負もあり「基地と育ってきた」との感慨があふれ、隊列に拍手を送った。

 政府は2017年度末、侵攻された離島の奪還を任務とする陸自の新部隊、水陸機動団を佐世保の相浦駐屯地に置く。「日本版海兵隊」と言われ、日米の軍事一体化の象徴でもある部隊だ。昨秋成立した安全保障関連法では将来、海外の軍隊と一緒に行動する可能性も指摘されている。

 水陸機動団の設置で、同駐屯地の隊員は倍増するとみられ「若い人が増え、活性化につながる」と地元で代々酒店を営んできた村中弘司さん(85)は喜ぶ。高齢化が進む地域に若者が増える頼もしさや、経済効果にも期待が広がる。

 佐世保で長く防衛の最前線に立った元海上自衛官、西川末則さん(64)は安保法で認められた集団的自衛権の行使に反発。「日本と関係のない戦いに加われば、日本を憎む敵が生まれてしまう」。専守防衛を誓って入隊した後輩たちに心を寄せ「後輩のためにも反対を続ける」と語る。

 自衛官約6千人が暮らす佐世保でも、政治への思いを表に出す隊員は少ない。安保法の是非を語ろうとすれば「自衛官を続けるか、家族がどう暮らすかという難しい問題になりそう」という声がある。ある隊員は「僕らは論議のど真ん中にいるから」と口をつぐむ。声を出せない当事者たちの視線の先には、どんな候補予定者が見えているのだろうか。

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 自民、公明の連立政権に対し野党が共闘して挑む参院選の公示が22日に迫る。国政の注目テーマや地域課題に対する県内の有権者の視線を探った。


=2016/06/14付 西日本新聞朝刊=

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