地域の視線(3) 待機児童 子育て世帯に焦燥感

西日本新聞

 長崎市の30代の会社員女性は、職場に近い認可保育所に空きがなく1歳の長男を預けるのを諦めた。

 「仕事しながら安心して子育てできる環境こそ重要なのに。一刻も早く待機児童を解消してもらわないと、子育て世帯にのんびりできる時間はないんです」

 やむなく育児休暇を延長したものの、遠のく仕事復帰には焦燥感が募る。

 匿名ブログの投稿が大きな反響を呼んだのは3月のことだった。「何なんだよ日本/一億総活躍社会じゃねーのかよ/昨日見事に保育園落ちたわ/どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか-」。わが子を保育所に入れられない怒りは、衆院予算委員会でも取り上げられた。安倍晋三首相は「匿名である以上、実際に起こっているのか確認しようがない」などと発言。ブログの内容より信頼性を問題にした姿勢に、同じ境遇の保護者が続々と声を上げ、政府は緊急対策を発表することになった。

 県内の待機児童数は、昨年10月時点で長崎市127人、壱岐市22人、時津町12人、佐世保市11人、長与町9人の計181人。希望する認可施設に入れなかったが別に入れる施設があるとしてカウントされていないなどの「隠れ待機児童」は昨年4月時点で288人に上ると推計される。

 都市部を中心に待機児童がなくならないのは、慢性的な保育士不足が根底にある。子どもと保護者にきめ細かい対応が要求され、業務は複雑化しているが他業種より給与水準が低い保育士の待遇。保育士養成学科がある県内の大学や短大を卒業しても、卒業生の3割近くは保育士以外の仕事に就くという。

 県保育協会の西川義文会長は「十分なスペースがあっても、保育士不足で子どもを受け入れられない施設が多い」と明かす。消費税引き上げが再延期となり、待機児童ゼロに向けた安定財源も見通せない。親の怒りに、政治はどんな答えを見いだせるか。


=2016/06/16付 西日本新聞朝刊=

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