諫干 聞こえぬ論戦 野党共闘…全候補 開門反対に

西日本新聞

 参院選長崎選挙区(改選数1)で、国営諫早湾干拓事業(長崎県諫早市)の開門問題が語られていない。自民現職と民進新人、諸派新人の3人が争うが、いずれも「開門反対」。開門を主張する共産が野党共闘を優先、独自候補の擁立を見送ったことも背景にある。不発気味の論争に、住民からは不満も聞かれる。

 「憲法を無視し、安保法を強硬な手段で成立させた。ルールを無視した政治を許していいのか」。23日、諫早市の公民館。マイクを握った民進新人の西岡秀子氏(52)は政権批判のトーンを強めた。父親の元参院議長、故武夫氏と同様、開門には反対の立場。しかし、この日を含めて公示後、街頭で触れることはほとんどない。

 西岡氏は民進、共産、社民、生活の4党による「共同候補」。共産は前回参院選で独自候補を擁立し、「早期開門」を主張した。今回の野党共闘に向けた各党との協議では、安保法制廃止などを重視し、本来は民進や生活と相いれない開門問題を“棚上げ”。「最大の目的は安倍政権の打倒。やむを得ない判断だった」(共産県委員会幹部)

 同県知事時代に干拓事業を推進した自民現職の金子原二郎氏(72)も、政治団体「幸福実現党」新人の江夏正敏氏(48)も「開門反対」だ。

 「開門派には歯がゆい。開門問題を抜きに応援はできない」。同県島原市の漁業者、中田猶喜さん(66)はほぞをかむ。3人の候補者全員が党派を超えて開門を主張している隣の佐賀選挙区(改選数1)にしか、代弁者はいないんじゃないか、とすら感じる。

 1997年の潮受け堤防閉め切りから19年。今回の参院選から「18歳選挙権」が導入され、かつての光景を知らない世代も有権者に加わった。閉め切り後に生まれた諫早市の長崎ウエスレヤン大1年、植松凛さん(19)は物足りなさを口にする。「昔の干潟はイメージできない。個人的には開門に違和感があるけど、賛成派と反対派の意見を選挙戦で聞きたい」

=2016/06/29付 西日本新聞朝刊=

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