投票所、統廃合で遠のく 高齢集落、交通手段なく 雲仙・愛野

西日本新聞

 雲仙市が4年前、投票所を41から28に統廃合したことで投票所までの距離が遠くなり、高齢化が進み公共交通機関がない地域などでは、今回の参院選で「投票を諦めざるを得ない」と話す高齢者が出ている。投票所の統廃合は同市議会でも問題視されたが、解決策は打ち出せていない。

 「以前投票所だった公民館は目と鼻の先だが、今の投票所までは1・5キロ。1人暮らしの高齢者は投票を諦める人が多い」と話すのは、同市愛野町川端地区の前自治会長岩永等さん(66)。近くにバス路線や鉄道もない37世帯の集落で、大半が高齢世帯だ。

 愛野町では3カ所あった投票所が1カ所に。唯一の投票所となった愛野農業者トレーニングセンターは町中心部にある。車がない高齢者は日ごろから、タクシーに乗り合って町中心部のスーパーまで買い物に行く。だが「投票のためだけにタクシー代の出費はつらい」というのが現実だ。

 市選管は、旧町にある7庁舎のほか千々石、小浜両町の山間部の4地域に「出張期日前投票所」を設けるが、今回参院選では5、6日の2日間で1地域当たり2時間に限られる。

 2005年に7町が合併した雲仙市では、旧7町が投票所を数十年間見直していなかったことや、自家用車の普及、期日前投票など制度ができたなどの理由で投票所を廃合した。

 1969年に旧自治省(現総務省)が出した通知では、1投票所当たりの有権者の基準はおおむね3千人だが、同センターが投票所となる有権者は、それより多い4355人。通知で「解消の努力が必要」と定めている、投票所まで3キロ以上離れている地域もある。投票所を分割し、増やしてほしいとの声は根強い。

 市選管は愛野町について「駐車場やバリアフリーの環境などが整えば投票区を2分割したい」としているが、職員の確保や財政にも影響するため、めどは立っていないという。島原半島では、雲仙市と同様に合併で誕生した島原市、南島原市とも利便性維持のため、合併前から投票所の数を変えていない。

=2016/07/03付 西日本新聞朝刊=

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