神経障害性疼痛の新薬臨床試験 九大など 7、8年後実用化目標

西日本新聞

 がんや糖尿病、帯状疱疹(ほうしん)、脳梗塞などさまざまな病気による神経の損傷が引き金となって起こる激烈な痛み「神経障害性疼痛(とうつう)」について、九州大は6月、製薬会社「日本ケミファ」(東京)と共同で、経口投与が可能な新たな治療薬の臨床試験を開始した。日本ケミファは「7~8年後の実用化を目指す」としている。

 神経障害性疼痛は「人類史上最悪の痛み」とも表現され、衣服が肌に触れただけで針で刺されたような痛みを感じるとされる。モルヒネなどの鎮痛薬は効かず、患者は世界で2千万人以上、国内でも数百万人に上るとされる。

 井上和秀副学長(神経薬理学)が率いる同大研究グループが2003年、脳や脊髄の中で免疫細胞として働く「ミクログリア」が神経の損傷で活性化すると、特定のタンパク質が増加・作用して、疼痛を招くメカニズムを解明。05年に日本ケミファとの共同研究を開始し、その特定のタンパク質の働きを阻害することで疼痛を抑制する効果が期待できることを突き止めた。

 今回の治療薬開発は、こうした研究をベースにするもので、そのための臨床試験は世界初。第1段階では、来年3月まで健康な成人男性に投与し、安全性を確認。その後、患者への投与で薬効を調べる第2段階に進み、実用化を目指す。

 井上副学長は「ようやく臨床試験にこぎ着けた。一刻も早く患者に届けるため、海外での先行開発や国内企業との共同開発も視野に研究を先に進めたい」と話している。


=2016/07/02付 西日本新聞朝刊=

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