野党統一、佐賀県内不発 関心呼ぶ公約なし

西日本新聞

 参院選佐賀選挙区は、再選した自民現職の福岡資麿氏が事実上の一騎打ちとなった民進元職の中村哲治氏を寄せ付けず「自民1強」に対する野党統一候補の試みは不発に終わった。民進、共産両党は市民団体を挟んで形の上では共闘したが、高まりを演出することはできず、有権者の目には最後まで「奇策」と映ったのかもしれない。自民党はさらに「1強」を固め、民進党は次期衆院選に向けて重い課題を背負った。

 「まさに『決める自民』と『決められない民進』だった」。自民党県連幹部は参院選をこう振り返る。

 自民党は昨年夏に福岡氏を公認し、1年かけて準備を進めた。一方、民進党は複数人に擁立を打診しては断られ、中村氏に正式決定したのは公示まで2カ月を切った5月10日だった。

 中村氏は「市民連合さが」を挟んで共産党と間接的に手を結んだが、民進党県連の一部幹部は「保守支持層が離れる」と選挙戦に入っても「共産と共闘しない」と公言。全国の1人区の流れは候補者一本化でも共闘しない手があったのにそれはせず「態度不明瞭」「内輪もめか」と感じさせるような状態だった。

 有権者の暮らしに分け入って、具体的に関心を引きつけるような公約を示すことができなかったことも、民進惨敗の一因だったのではないだろうか。

 中村氏は基幹産業の農業を意識し「環太平洋連携協定(TPP)に反対」と主張したが、その多くは東京の党本部の公約と重なった。推薦を申請した県農政協議会からは一蹴された。「候補者個人が見えない。会議では自民党の農政批判が出たが、民進党を応援しようという声もなかった」

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 18日間の論戦も深まらなかった。安倍晋三首相は経済政策「アベノミクス」の是非を最大争点に掲げたが、西日本新聞社の世論調査では、アベノミクスで景気が良くなると「思う」人は18・8%、「思わない」人は64・0%。それでも自民現職が圧勝した。

 「アベノミクスを信任するわけではないが、自民に代わる受け皿もない」。投票結果からは有権者のそんな思いも透けて見える。

 オスプレイ佐賀空港配備計画や九州新幹線西九州(長崎)ルートの整備問題、玄海原発再稼働…。県内に抱える重要な国政課題でも論戦はかみ合わず、白熱にはほど遠かった。

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 「農政協との関係修復は予断を許さないが、地盤固めにつながった」。自民党県連幹部は次期衆院選を見据えてこう語る。県連は41地域支部と26職域支部、後援会組織を県内に網の目のように張り巡らせている。

 一方、民進党は県関係の衆院議員2人の個人票頼みが実情。昨年4月の県議選でも議席数3(現有2)を維持したにとどまった。

 民進党は3年ごとの参院選の準備期間を生かせず、後手に回った。首相が解散権を握る衆院選はいつあってもおかしくない。風や個人に頼らない組織づくり。結党以来の弱点克服に残された時間は少ない。

=2016/07/11付 西日本新聞朝刊=

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