熊本地震3カ月 続く車中泊 心つなぐ ボランティア団体 週2回、夜間巡回

西日本新聞

 熊本地震の前震から14日で3カ月。熊本県内の避難者は最大時の18万人超から約4700人に減ったが、今も公園や自宅の庭先などで車中泊を余儀なくされている人たちがいる。車やテントで寝泊まりを続ける被災者を支援するボランティアグループ・こころをつなぐ「よか隊ネット」(熊本市)の夜間巡回に同行した。

 7月上旬の夜9時前、同県益城町のグランメッセ熊本。2200台収容の駐車場は日中のうだるような暑さはないが、人けもなく、怖いほど静かだ。よか隊ネット副代表の高木聡史さん(48)とボランティアが3人一組で車やテントを回っていく。

 「こんばんは」。高木さんが駐車場の植え込みに張られたテントに声を掛けた。「ああ、こんばんは」。同町惣領のパート女性(57)が顔を出した。「暑かったけど大丈夫でしたか」「お茶やカップ麺を持ってきましたよ」。真っ暗な中、携帯電話の明かりだけを頼りに世間話をしつつ、困り事がないか尋ねる。

 女性は自宅アパートが全壊し、4月14日から夫らと避難。この3カ月間、ずっと車やテントで寝ている。「片頭痛持ちだけん、騒がしい所はおりたくない」。仮設住宅が完成するまで駐車場で過ごすという。

 よか隊ネットは、生活困窮者支援や環境保全、東日本大震災の被災者支援などに取り組んでいた複数の市民団体が地震後に連携して発足。7月5日現在、66団体が参加し、公的支援が届きにくい人々に必要な支援を提供している。5月以降は週2回、車中泊の避難者の巡回を続けている。

 この夜はボランティア3組が益城町の2カ所で約1時間半、声を掛けて回った。

    ◇      ◇

 地震発生直後、グランメッセ駐車場だけでなく、公園や店舗駐車場などあちこちに車中泊をする人があふれた。「電気や水道が復旧し始めた5月の連休明けから自宅に戻る人が増えた。6月半ばからの暑さと豪雨で車中泊の数は急激に減ってきた」と高木さん。車中泊をやめた人は、指定避難所や自宅、友人宅などに移ったとみられる。

 現在、グランメッセ駐車場で過ごす人で、よか隊ネットが名前などを把握できているのは約10世帯。昼は自宅で過ごして夜だけ庭の車で寝る人、余震の後だけは車で寝る人など、車中泊の方法はさまざま。車中泊を続ける被災者の正確な数は、行政も把握できていない。

 駐車場の北端にぽつんと止められた白い車。声を掛けると、後部座席にいた男性(62)=同町惣領=がドアを開けた。住んでいたアパートが全壊して4月15日に避難して以来、1人で車中泊を続けている。避難所にも行ったが、入る余地がなかった。「体調は大丈夫ですか」との問いに「やっぱりおかしくなりますよ」。血圧が高くなり、通院しているという。

 男性は無職。仮設住宅に当選はしたが、まだ完成しておらず入居できない。家がなくては仕事も探せない。「見捨てられたみたいなもんだ」とつぶやいた。

 「今もなお車中泊を続けている人こそ、手を差し伸べてくれる人も少なく、行き場所がない人たちや、建物に入るのが怖いという心の傷が深い人たちではないか。彼らが車中泊を終えた後も、つながり続けたい」。高木さんの言葉が胸に刺さった。


=2016/07/14付 西日本新聞朝刊=

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