【ピカ☆いち・このひと編】縄跳びの達人 佐藤拓広さん(23) 福岡工業大院修士2年

西日本新聞

 ●技は独学、世界へ跳べ! あざやかジャンプ 
 縄跳びに世界大会や日本大会があることを知っていますか? 競技の世界の縄跳びは「ロープスキッピング」と呼ばれ、とてもアクロバティック。トップの選手は、サーカスで演技をする人もいるくらいだ。そんな競技縄跳びをほとんど独学で学び、世界大会にまで出場した達人がいる。こども記者が一緒に体を動かしながら、話を聞いた。

【紙面PDF】ピカ☆いち・このひと編 縄跳びの達人 佐藤拓広さん

 ▼迫力スピード

 縄を片手で振り回してキャッチしたり、逆立ちをしながら跳んだり…。福岡市東区にある福岡工業大大学院の修士2年、佐藤拓広さん(23)が、キャンパスで技を披露してくれた。「縄が空気を切る音と技のスピードに迫力があって、なんだかぞくぞくした」(和田記者)

 佐藤さんは中学2年の時、インターネットの動画サイトで、音楽に合わせて縄跳びの技を決める「フリースタイル」と出合った。動画をお手本に1人で練習を続け、2009年から13年まで日本大会の上位入賞を重ね、10年にはイギリス(英国)で開かれた世界大会に日本代表として出場した。

 技は300種類以上あるといい、それらを組み合わせて振り付けを作る。佐藤さんは「技ができたときの達成感があるし、練習すれば連続技もできるようになるのも楽しい」と魅力を語る。

 こども記者は、体育の時間では習わないような、珍しい技を教えてもらった。片手に縄を巻き付けてポーズを決める技「アームラップ」や、跳びはねるのではなく、歩きながら回る縄をまたいでいく技に挑戦した。こども記者も技をクリアしていく達成感が分かったようだ。「アームラップは、だんだんこつをつかめてきて楽しかったし、もっと他の技もやってみたくなった」(和田記者)

 ▼苦手だったが

 一汗かいたあと、インタビューをした。佐藤さんは1人で練習をするとき、動きを録画し、スロー再生したり、お手本と見比べたりしていたという。インターネットで知り合った他の選手にメールで意見を求めることもあったそうだ。

 佐伯記者は、この話を聞いて独学の難しさを考えた。「私たちは普段、学校の先生や家族に勉強やスポーツを教えてもらっている。しかし、佐藤さんには先生がいない。1人で練習をすると、やめようと思えば、やめることができる。自分に厳しくないと、上手になれない」

 スランプになったときはどうしていたのだろう。佐藤さんは「うまくいかないことがあると、やめたいと思うこともある。でも、やればできる、と思う瞬間があれば続けていける」と話す。意外にも佐藤さんは、小学校低学年の頃は二重跳びができなくて、苦手意識を持っていたそうだ。だが、考えながら練習してできるようになった。この時の経験から、続けることの大切さを知ったそうだ。

 ▼大学院で研究

 佐藤さんは現在、九州・山口で縄跳びの指導をメインに活躍する一方、大学院でスポーツ工学の研究をしており、スポーツがうまい人の動きや理由を調べている。学部生時代には、文部科学省主催の研究発表会で、二重跳びをうまく跳ぶためのこつに関する論文を発表したこともあり、「いずれは、縄跳び界に貢献できるような論文を書くのが夢」という。

 「縄跳びを通じて知った『続けていく力』を伝えたい」と話す佐藤さん。競技を入り口に、研究や指導の世界で、縄跳びに関わり続ける姿勢から、こども記者にも、思いは伝わったようだ。「僕は縄跳びが苦手だった。佐藤さんの技を見て『とうていかなわない』と思った。だが、佐藤さんも小学生の頃は、うまくなかったと聞いて意外だった。僕は継続する力が必要だと分かった。このことを他のことに生かしていきたい」(長島記者)

 ロープスキッピング 日本ロープスキッピング連盟(東京都、古賀慎二会長)によると、技や名称とルールを定めたスポーツとしての縄跳び。1人で跳ぶ単縄跳び以外に、長縄を2本回して団体で取り組むダブルダッチがある。単縄跳びは、時間内に何度駆け足で跳ぶかを競う種目や、音楽に合わせて技を決めるフリースタイルの総合点で競われる。隔年でアジア大会、世界大会が開かれている。

 ★佐藤拓広さんは、縄跳びやダブルダッチの指導をする団体、エブリJUMP(中村芳美代表、福岡県春日市)に所属している。この団体は日本ロープスキッピング連盟の福岡支部でもある。

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=2016/07/23付 西日本新聞朝刊=

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