電話やネットで医師らが助言 子どもが急病 病院に行くべきか… 広がる相談窓口 子育て不安を解消

 急な病気やけがで、子どもを病院に連れて行くべきかどうか、判断に迷うことは多い。そんなとき、電話やインターネットを使って相談できる窓口が広がっている。核家族化により身近に相談できる人がいない親が増える中、親の不安解消に役立ち、症状が軽いのに夜間救急外来にかかる「コンビニ受診」の抑制も期待される。

 ●深夜の異変

 7月中旬、午後7時ごろ。東京都世田谷区の女性(31)は、9カ月になる長男を風呂に入れていて、様子がおかしいことに気付いた。足首に水膨れのようなものが広がっている。かかりつけの病院の診療時間は過ぎていた。

 そこで、利用したのが遠隔医療相談サービス「小児科オンライン」。スマートフォンのテレビ通話を利用し、電話口の小児科医に患部を見せながら症状を説明した。医師は「恐らくとびひでしょうから、明日以降ひどくなるなら皮膚科を受診して」と助言した。

 深夜に急に高熱を出したり、離乳食を口にして発疹が出たり。初めての子育ては分からないことばかりだ。この女性は「ネットで調べると、不確かな情報が多く出てきて不安が募る。医師に、気軽に相談できるのは安心」と話す。

 このサービスは2月に始まった。平日午後6~10時、小児科医16人がシフトを組み、1回15分(10月12日から10分)の相談に応じる。電話やメール、無料通信アプリのLINEなどを使い、動画や写真を交えて症状を伝える。会員登録や相談の予約はホームページから行う。利用料は月980円(12月からは3980円の予定)。診察には当たらず相談窓口のため、保険は適用されない。回数の制限はない。

 ●負担減らす

 運営会社「キッズパブリック」(東京)の代表を務める小児科医、橋本直也さん(32)が起業したのは、右足を骨折した3歳の女児を、救急外来で診察したのがきっかけだ。「泣きやまずに思わず手を上げてしまった」と悔やむ母親を見て、「責めるよりもなぜ孤立してしまったのかを考え、支えていく仕組みをつくりたい」と考えたという。

 実際の相談のうち、救急外来へ行くべきか問うものは3割にとどまり、あとの7割は湿疹や便秘、発達の不安、泣きやまないなど日常的な子育ての悩み。「すぐに受診が必要」と判断した例はわずか3%だった。

 小児科医の負担軽減につなげたい思いもある。自治体による子どもの医療費助成が広がり受診しやすくなっている上、昼間の診療時間に連れて来にくい働く親が増えるなど、休日や夜間の小児外来が増加。その負担の大きさから、特に地方の小児科医不足は深刻だ。

 消防庁によると、小児救急搬送の75%が入院を必要としない軽症で、重症はわずか1%。橋本さんは「軽症でも、親にとっては緊急事態。サービスが普及することで、医師と患者の双方の負担が減る」とみる。

 社員への福利厚生や医療費の削減効果を見込み、導入する企業や健康保険組合も出てきた。熊本地震後には「病院が開いていないから」と被災者からも相談があり、災害時の活用も期待できる。

 ●認知度低く

 国も2004年度から、小児救急電話相談「#8000」事業に取り組む。全国共通ダイヤルの#8000にかけると、現在地の都道府県の相談窓口につながる仕組みだ。小児科勤務の経験がある看護師らが相談員を務め、救急受診の必要性などを助言する。受付時間は都道府県によって異なるが、相談料は無料だ。

 厚生労働省によると、全都道府県で導入された10年度は約46万6千件の相談があり、14年度には約63万2千件と最多を更新した。ただ、内閣府が14年度に行った調査では、全体の9割、就学前の子どもがいる家庭でも6割が「知らない」と回答。さらなる認知度向上に向けた対策が必要だ。


=2016/09/10付 西日本新聞朝刊=

PR

開催中

第13回あんぱんパーク

  • 2021年10月21日(木) 〜 2021年10月28日(木)
  • ベイサイドプレイス博多 海側イベントスペース
開催中

第5回写遊会 写真展

  • 2021年10月15日(金) 〜 2021年10月29日(金)
  • まいなびギャラリー(北九州市立生涯学習総合センター1階)

PR