アクティブ・ラーニング(1)授業改革 先生たちもまだ手探り

 「アクティブ・ラーニング」って、どんな学習方法? こう子どもから質問され、ちゃんと答えられる先生はまだ少ないだろう。
 
 2020年度から小中高校で順次導入される新学習指導要領(学習内容の基準)。その柱の一つとして盛り込まれようとしているのが「アクティブ・ラーニング」。文部科学相の諮問機関・中央教育審議会(中教審)の特別部会が8月初め、導入するよう中間報告で求めた。

 教員が一方的に教え授ける授業を見直し、児童生徒同士の話し合い、学び合いを重視する討論型の学習方法が小中高校の授業で導入される運びとなった。

 これまでの授業では、教員が知識や解決法を教え込み、子どもたちがテストでどれだけ正確に再生できるかに主眼が置かれていた。だが、パソコンやスマートフォン(スマホ)で知識や情報は容易に入手できる時代になった。むしろこれからは、その知識や情報をいかに読み解き(リテラシー)、実生活に活用できるか(コンピテンス)が問われるとし、話し合い中心の授業への転換を求めているのだ。

 「先生の授業を聴く」という受け身の姿勢ではなく、児童生徒同士が「なぜ」「私はこう思う」「ここがよく分からない」などと話し合う中で、より学びを深める狙いがある。学習のプロセスを見直す授業改革で、学力格差の解消にもつながるとの期待もある。

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 子どもたちの学びが本格化する2学期を前に、佐賀県武雄市の市文化会館では8月27日、小中学校の教員を対象にした「教師力向上セミナー」が開かれていた。同市では13年度から、アクティブ・ラーニングの授業手法の一つ「反転授業」を小学校で導入。15年度からは中学校にも広げ、今では市内13の全小中学校でこの学習方法が導入されている。

 直訳すれば、主体的、能動的、積極的な学習となるアクティブ・ラーニング。実際に実践している教員は、どんな授業を目指しているのだろう。何人かにイメージを聞いてみた。

 「先生ではなく、子どもが主役になって学ぶ」「豊かな話し合い」「思考力を育む」

 教員たちが描く授業の姿はまだぼんやりしていて、捉え方にも開きがあるようだ。

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 この日のテーマは「国語」。講師を務めた同市立山内東小学校の中尾通孝教諭(40)に同じ質問を向けると、「子どもたちにとって本当の学びとは何か。私たち教師が問い直す機会なんじゃないかな」と話した。

 中尾教諭は14年前、3年生担任として初めて教壇に立った。「子どもたちがいっぱい意見を出す授業」を目指し、グループ学習にも時間を割いた。だが、収拾がつかなくなることも少なくなかったという。

 「教え込もうとすると、多くの子どもは下を向く。納得していないんですよ。先生の顔をしっかり見て、授業を聞いている子もいる。でも、自らの頭で本当に考えてくれているだろうか、とも思えた」

 中尾教諭はこの4年間、兵庫教育大付属小学校(兵庫県)でアクティブ・ラーニング型の授業を模索。同大学院でも認知言語学、学習理論などを学び、4月から地元に戻った。今は1年生を担任している。

 児童の話し合いを中心にした学びとはどんなものだろう。

 「先生に言われても分からないことが、○○君に言われて分かった。あーそんな考え方もあるんだ。グループ学習の中にはそんな場面がある。ちょっと回り道かもしれないけれど、子どもたちの心に残る、そんなエピソード記憶をいくつ作れるか。学ぶ楽しさが膨らんでいくような授業にしていきたい」。自身に言い聞かせるように、中尾教諭は話した。

 アクティブ・ラーニング 1990年代、米国の大学などで導入が広がった。大学の大衆化が進み、学生の気質も変わり、旧来型の講義が成り立たなくなったのが発端。「教えるから学ぶへ」「先生ではなく、学生中心の学習」「結論より、学習方法を学ぶ」などの視点に立つ。日本でも少子化に伴い、「大学全入時代」へと向かい、2000年代から大学教育改革の一環として導入が進んだ。新学習指導要領では、この学習方式を大学ばかりではなく、小中高校にも広げようとしている。

 武雄市が導入している「反転授業」では、小中学生がタブレット端末を使って予習、授業では疑問点や多様な問題解決法をグループ学習などを通じて話し合い、アクティブ・ラーニングを実践している。

=2016/09/04付 西日本新聞朝刊=

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