【おしごと拝見】福岡市の西部水処理センター (福岡市西区) 微生物に食べてもらう

西日本新聞

 ●汚れた水……川や海に流す前にきれいに 
 せんたくやトイレ、おふろなどに使って汚れた水はどうなっているか知っていますか。川や海に流す前に、きれいに処理している所があります。その一つ、福岡市西区の西部水処理センターを、こども記者らが取材しました。

【紙面PDF】おしごと拝見 福岡市の西部水処理センター 微生物に食べてもらう

 ■全国の下水管46万キロ

 こども記者たちは、まず職員の川原孝史さん(31)から下水処理の流れについて教えてもらった。

 家や学校などで出た汚水は、地面の下にある下水管を通って水処理センターに集められるそうだ。「福岡市内の下水管を1本につないだら、福岡からどこまで行けるでしょうか?」。川原さんが問題を出した。答えはアメリカ(米国)のハワイ。長さ約7千キロになるそうだ。全国の下水管を1本につなぐと約46万キロにもなって、地球から月までの距離38万キロをこえるという。

 水処理センターに集まった汚水は、大まかにいえば、ごみや砂などを沈めて取り除き、微生物に汚れを食べてもらって、消毒して海に流している。「博多湾は(外洋に比べ)波が弱く、消毒に使う塩素が薄まりにくいので環境のためにより気を使っているそうだ」(浜野優二特派員)

 ■地下深くにポンプ

 水質試験室で、下水の汚れを食べる微生物も観察させてもらった。顕微鏡をのぞくと、ぐにゃぐにゃと動いていて、テントウムシのような形のものもいた。それらが大きな画面に拡大して映し出されていた。

 こども記者らは「まるで怪物だ」「気持ち悪いなあ」と口々に言ったが、水質係の職員は笑顔で「役に立つ微生物もいるんだよ。その状態を見れば、汚れた水の処理がうまくいっているかどうかが分かるんです」と説明してくれた。

 施設の見学では、巨大なポンプも見た。下水管は水が流れるように斜めに下っているため、水処理センターに着く時には地下5階くらいの深さになり、それをポンプでくみ上げて処理しているそうだ。

 ■屋上で太陽光発電も

 水処理センターはかなり広く、いくつもの水槽があった。階段の上り下りを繰り返すうちに汗だくになり、ここで働く人たちの大変さが分かった。案内をしてくれた職員が、処理がほぼ終わった水をバケツですくって見せてくれた。西村律希記者は「すきとおって、きれいになっていたので、びっくりした」。

 今年4月からは、施設の屋上を使って太陽光発電も始められていた。縦約1・6メートル、横約1メートルの太陽光パネルが5688枚も設置されていて、北忠明記者は「広い屋上を活用して多くの電気を作っているのが、とてもよい」と思った。

 このほか、同センターが用意してくれた実験道具を使って、こども記者らは、ティッシュペーパーがトイレットペーパーに比べて水に溶けにくいことも実感した。3人は「ティッシュや油などは下水管をつまらせてしまいかねないので、今後、下水に流さないようにしたい」と強く思った。

 ●水処理センター職員に聞く 下水管はどんどん大きく 途上国から学びに来る

 こども記者ら3人は、福岡市の西部水処理センターの職員たちに質問もした。

 -水処理センターがなくなると、どんな問題が考えられますか?

 答え 川や海の水質が悪化して魚がとれなくなったり、くさい海になって周辺に住む人の環境が悪化したりします。発展途上国では、どんどん川や海が汚れているため、この施設に水処理を学びに来る人もいます。また、水処理センターは、大雨が降ったときに排水するポンプ場も管理しているので、センターがなければ、大雨が降ったら街が水につかってしまい、水浸しになってしまいます。

 -下水管って、どれくらいの太さですか?

 答え いろいろありますが、みなさんの家では10センチくらい、水処理センターまでの間にどんどん大きくなって、人が立てるくらいの大きさになります。

 -マンションとか高い所にあるトイレから水を流したら、スピードが出て、
あふれたりしないのですか?

 答え ビルなどでは地下に汚水槽というためるところがあって、いったんためてからポンプでくみ上げ、下水管に流す仕組みなので、だいじょうぶです。

 -下水の汚れを食べる微生物は食べ残しませんか?

 答え 食べ残しもありますが、微生物がかたまることで体の表面に汚れがくっつきやすくなります。食べなくても、体に吸着して一緒に沈んでくれることで、水の中の汚れがなくなるようになっています。

 -なぜ屋上に太陽光発電のパネルを付けたのですか?

 答え 広い屋上を有効に活用するためです。発電をすれば収入にもなるし、一番メリットがあると考えました。

 ●わキャッタ!メモ

 ▼福岡市の西部水処理センター 福岡市内7カ所にある水処理センターの一つで、処理水量は市内2番目。西区、早良区、城南区などの一部をカバーし、約44万人分の下水を処理している。処理した水を海に流すほか、途中で取り除いた汚泥を燃やした灰は道路をつくる材料にも活用されている。

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=2016/10/01付 西日本新聞夕刊=

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