時間割(1)週替わり なぜこんなに変わる

西日本新聞

 ランドセルには、時間割を差し込むポケットがある。子どもが学習見通しを立て、忘れ物をしないよう、配慮されたものだ。私(36)が小学校時代に使ったランドセルにもポケットがあり、1年間は同じ時間割を入れていた。

 ところが2年前の夏、福岡市内に転校した長男(3年生)のそのポケットはいつも空っぽだ。「何で入れてないの?」。不思議に思って妻に尋ねると、1週間ごとに時間割が変わるためだという。毎週金曜日に担任から配られるプリントの時間割に沿い、長男は毎日、教科書や体操服を用意している。

 市内の別校区に住む同世代の同僚に尋ねると、同じだった。週替わりの時間割が、冷蔵庫の扉に張ってあり、不思議に思っていたという。わが家でも居間のホワイトボードに張られている。次男も同じ小学校の1年生なので2枚ある。

 市教委に聞くと、ほぼ福岡市全域の小学校で時間割は週替わりであるという。

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 長男の時間割を4週分めくってみた。同じ曜日の同じ時間帯、同じ教科があったのは国語と体育の2教科しかなかった。6時間授業がある水曜日と金曜日の時間割を比較しても一目瞭然だ=イラスト参照。2学期が始まったばかりという事情を考慮しても、変化が激しい。

 2人が通う七隈小(城南区)に聞きに行った。説明してくれたのは、主幹教諭の樋口和寛教諭(48)。学級担任はせず、学校全体を見渡し、年間授業計画を立て、時間割の原案を考えるキーマンだ。樋口主幹はまず、全校児童が参加する交流集会や体育の授業を軸に時間割を考えるという。体育の授業では、児童の着替えや移動の時間、グラウンドや体育館の事情も絡むためだ。確かに、体育の時間割は変わっていない。

 では、他教科の時間割はなぜ、こんなに変わるのか? 樋口主幹の説明はこうだった。

 「3限目で子どもたちの学習が最も活発になり、4時限目になるとおなかがすいてきて、集中しにくい傾向にある」「休み時間は、1・2限、3・4限の間が5分、2・3限の間は15分と違っている。長引くような授業は1、3限目に入れる」

 週替わりの時間割は、子どもの学習効果を考慮した緻密なやりくり、柔軟対応だとする。

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 2時限連続授業も目立つ。図工の事情は分かる。でも、国語の連続授業(16日)は、その学習効果の高い時間帯を狙ったものだろうが、子どもにとってはしんどくないか? 聞けば、「進行を考えながら話し合う」と「ローマ字学習」と、異質な単元(学習内容)なので「ぶっ続けではない」と言う。

 福岡市の小学校では本年度、学習内容の増加に対応し、夏休みが4日短縮された。2学期始業式翌日の長男の授業では、算数と国語がその日、2こまずつあった。

 母親たちはどう思っているのだろう? 9月にあった授業参観日に何人かに聞いたが、そう特別な現象とは捉えていないようだった。妻も「毎週同じだと子ども自身が準備をしやすいし、生活リズムをつくりやすいとは思うけど、そういうもんじゃない?」。息子たちも気にする様子ではない。

 遠いあのころ、私はこんなに勉強していただろうか。忙しく変わる時間割を見ながら、あれこれ考える。

 「35」週で割り切れない教科も

 時間割はどうやって決まるのだろう?

 年間授業時数は、ほぼ10年ごとに国が改定する学習指導要領で定められ、学校教育法施行規則に沿って実施されている。現行では小学6年生の場合は年間980こま(45分授業)、中学生は同1015こま(50分授業)。さらに小6の国語は年間175こま、理科は同105こまと、教科ごとに細かく定められている。

 児童生徒の年間の登校日数は約40週。行事などを除くと実質は約35週。こうした制約の中で各学校は時間割を決めている。ここで注目してほしいのが「980」「1015」「175」「105」という数字。全てが35で割り切れる。これは、毎週1回授業を進めた場合、年間35こまが基本単位となるためだ。

 例えば、小6の授業時数は980こま。980÷35=28こま。これを1週間で割り振ると、5時限目までの日が週2日、6時限目までの日が3日となる。同じように計算すれば、国語なら週5こま、理科は3こまとなる。

 ところが、1998年の学習指導要領改定に伴い、例えば音楽は年間50こま、体育は90こまなどと、35で割り切れない教科も増えた。そのため、時間割を週ごとや学期ごとに作り替える必要が生じている。

=2016/10/02付 西日本新聞朝刊=

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