電力自由化半年 変わる?使う側の意識 切り替えは手軽に 電気代ほぼ同じ 環境問題に関心

西日本新聞

 家庭向けの電力小売りが自由化されて10月で半年になるが、大手電力会社から新規参入事業者(新電力)に切り替えた家庭や商店は、全国で2・7%(8月末時点)にとどまる。実際に切り替えた家庭は、どんな変化を感じているのだろうか。

 ●ポイントは満足

 「変化といえば、電気代にポイントが付くようになったことくらいかな」

 福岡市のファイナンシャルプランナー江崎智代さん(42)は、新たに電力販売を始めた西部ガス(同市)と6月に契約した。

 家計の見直し相談に応じる仕事柄、「まずは試してみて、何か不都合があれば九州電力に戻せばいい」という軽い気持ちだった。

 インターネットで申し込むと、電気メーターがいつの間にか、通信機能付きの新しいものに取り換えられていた。約2週間で契約が切り替わり、毎月の使用量や電気代はネットで確認できるようになった。

 西部ガスを選んだ理由の一つはポイントサービスがあったから。普段ためている「楽天スーパーポイント」が電気代200円につき1ポイントもらえる。クレジットカード払いなら二重にポイントが付き、1ポイント1円として使える。「いろんな買い物でポイントをためているので、1年間で合計1万5千円分ほどになる。銀行の利息がほとんど付かない中では結構大きい」と言う。

 一方で電気代自体はほとんど変化していない。家庭の標準的プランを比較すると、九電の「従量電灯B・30アンペア」に相当する西部ガスのプランは基本料金が約65円安く、使う量によって変わる単価はほぼ同じ。燃料価格の変動を電気代に反映させる「燃料費調整額」、再生可能エネルギー普及のため消費者が負担する「再エネ賦課金」は、九電と同様に支払う。

 江崎さんの場合、ガスとのセット割引で基本料金は約125円安くなったが
「家計の節約を考えるなら、携帯電話の契約を見直す方が効果的でしょう」。

 ●脱原発への意思

 福岡県糸島市の主婦(42)は、太陽光などの再生可能エネルギーで発電する新電力「グリーン・市民電力」(福岡市)を選んだ。環境問題に関心があり、九電の原発には抵抗感があったからだ。

 電気代は九電のころと変わらない。実際に使う電気は、一部が余剰電力を売買する卸電力取引市場から調達されており、今はまだ「100%再エネ発電」でもない。それでも、九電との契約をやめたことで「(脱原発に)1票を投じたような晴れやかな気持ち」になった。「みんなが再エネを選ぶようになれば、原発が必要ない時代が来るかもしれない。電力自由化でその可能性が開けた」と期待する。

 ●消費者の責任は

 資源エネルギー庁によると、九電管内の新電力への切り替えは8月末時点で8万1千件で、契約件数の1・3%。東京電力管内の4・2%など大都市に比べて低調だ。

 電力自由化の啓発講座を開く福岡市の消費生活アドバイザー林真実さん(53)は「九電の料金は他に比べてもともと安い。積極的に新電力を選ぶ家庭は少なく、様子見なのだろう。関東では福島第1原発事故による“東電離れ”が見られたが、九州はそうした動きも少ない」と分析する。林さん自身、新電力にするメリットを感じず九電のままだ。

 「でも自由化をきっかけに電気への関心は高まった。自分の契約内容をあらためて知り『再エネ賦課金って?』などと理解しようとする人が増えた」と、消費者意識の変化を感じている。

 林さんは「自由に選べるということは、消費者の責任が重くなるということ。日本のエネルギー問題や省エネについてもしっかり考えて選択してほしい」と呼びかけた。


=2016/10/07付 西日本新聞朝刊=

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