【聴診記】ペリネイタルロスのケアを考える 心の痛み分かち合って 素っ気ない病院対応/心ない言葉で退社

西日本新聞

 周産期の子どもの死亡「ペリネイタルロス」のケアの在り方を考える記事を3回にわたり掲載した。新たな命の誕生を喜ぶ間もなく、その死に直面する-。主治医や看護師の対応に今も苦しむ両親、一方で悲しむ両親に向き合う医療機関、専門家によるケアの必要性を訴える内容に、読者から手紙やメールで多くの感想が寄せられた。

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 「『流産することはよくあること。どうにもできません。予約の日に来てください』と助産師に言われました」

 神奈川県の40代女性は不妊治療の末、体外受精で妊娠。出血があり電話したところ、病院側の対応は素っ気なかったという。だが、予約日の2日後に医師に診てもらったら「何でもっと早く来なかった」と逆に非難された。結局、妊娠12週目で流産だった。「先生は『卵はもうないの?』と言いましたが、私は何も考えられませんでした」

 失意に暮れながらも女性はその後、がむしゃらに働いた。誰にも流産を明かさなかったが、上司には不妊治療を続けていることを伝えた。だが、上司は「治療のために休まれては困る。子どもなんていたって大変なだけだよ」。これ以外にも周囲の心ない言葉や対応に傷つき、14年間勤めた会社を辞めた。

 「私は今まで泣きませんでした。病院の先生も助産師も私のことなどは忘れているでしょう。でも、この記事を見て初めて涙が出ました」

 産声を上げなかった赤ちゃんの沐浴(もくよく)、看護師が手作りした産着を着せ、母親との対面、そしてお別れの会…。北九州市立医療センターは6年前から、ペリネイタルロスのケアに取り組んでいる。

 「こういう人たちに出会えていたら、私の人生も変わっていたかもしれないと思います。きちんと子どもにも『ありがとう』と言いたいです」

 働くことで全てを忘れようとしていたが、人生の一ページとして向き合うことに気付かされたという。

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 福岡県久留米市の70代女性は息子が亡くなった半世紀前の出来事をつづった。

 「小さな骨つぼを抱いて帰ってきたとき、仏壇前には白い菊の花がいっぱい飾ってありました」

 周産期ではないが、自宅で出産した生後7カ月の息子が高熱を出し、病院に駆け込んだものの翌日、息を引き取った。身内だけでひっそりと葬儀を済ませた後、自宅に戻ると、近所の方々が花を手向けてくれていたという。

 「その気持ちがうれしくて、また涙したのを昨日のように思い出しました。親は自分を責めるものです。だから、ちょっとした言葉や支えで救われます」。そして、こう結んだ。「皆さんの心遣いが子を亡くした親をどれほど力づけるか…。生きる力を与えてくれました」

 心の痛みを分かち合う-。気持ちに寄り添えば、決して難しいことではない。


=2016/10/08付 西日本新聞朝刊=

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