時間割(2)背景 いつから、なぜ変わった?

 福岡市の小学校で定着している週替わりの時間割。いつごろから、なぜ導入されたのか。小中学校の指導計画を担当する市教育センターを訪ねた。

 「そうですよね。確かに、私が新任の小学校教諭だった30年ほど前は、週替わりではなく、固定でした。いつから変わったのか、はっきりしたことは分かりませんが、土曜日が影響しているのかもしれません」

 研修・研究課の木下宏仁課長はそう切り出した。

 土曜日といえば、私(43)が小学生だった1980年代は4時限授業があり、昼には下校する「半ドン」。ところが、ゆとり教育の導入に伴い、92年度から月1回、95年度から月2回が休みに。学校週5日制が完全実施された2002年度まで、土曜日の授業がある週と、ない週が混在した。

 「土曜日の流動化に伴い、旧来型の固定された時間割では対応できず、弾力的な週替わりの時間割へと変わった」

 木下課長の見立てである。

   ◇   ◇

 きっかけとしてはうなずけるが、それだけだろうか? 複数のベテラン教員にも疑問をぶつけてみた。週替わりの時間割が定着していったのは、10年ほど前という点で一致していた。

 2000年代は教育転換の潮目だった。段階的に導入された、ゆとり教育が完全実施されながら、その一方で、学力低下懸念が広がり、脱ゆとり、学力強化への流れが強まっていく。学校現場は次々に新たな対応を迫られた時期でもあった。

 例えば、朝学習が定着したのもこのころだ。1時限目前の15分、児童は漢字や計算ドリル、読書などに取り組む。「モジュール授業」と呼ばれ、3回分で45分の1時限授業とカウントされる。朝の有効活用策でもあるが、授業時間確保のためのやりくりの側面も色濃い。

 その半面、学力強化に向けた、主要教科の2時限連続授業。いじめ予防の側面もあるのだろうか、学年の垣根を越えた異年齢交流授業なども増え、時間割をこまめに組み替えざるを得なくなったのが実情のようだ。

 各地で広がる夏休みの短縮や2学期制導入の背景にも、こうした学習内容の増加に対応し、年間授業こま数を確保する狙いがある。台風やインフルエンザに伴う休校対応も求められる。

 福岡県内のある小学校長は「高学年の時間割は今でもパンパン。でも、学校行事は削りたくない。この授業、あと1時間やれば、もっと多くの子どもたちの理解が深まるのに、と思うこともある。やりくりしようとすれば、週替わりの時間割で隙間なく授業を組み、ひねり出すほかない」。悲鳴にも似た、現場の本音にたどり着いた。

   ◇   ◇

 私が小6のころ、学校でどれだけ勉強していたのだろう? 調べてみると1015こま。2000年代には945こままで減少したが、今は980こま。20年度に実施予定の新学習指導要領では、私たちの時代と同じ授業こま数になる見込み。土曜授業復活の動きの是非は別として、なるほどと思う。

 帰宅し、あらためて冷蔵庫に張られた小5の三女の時間割プリントを眺めた。9月26日の1時限目は国語で、学習目標は「天気を予想する」。2時限目は理科で「台風と天気の変化」。教科は別でも単元(学習テーマ)は連なり、関連付けられている。週替わりの時間割を読み込むと、先生たちの工夫の跡も読み取れる。

 時間割は単なる授業計画表でもなかった。学級通信も兼ね、運動会の練習に励む娘たちの様子が写真付きで紹介されていた。仕事にかまけて授業参観にも行ったことがない父親にとって、わが子の学校生活をそっとのぞける、小窓のような一枚でもある。木曜日の夜、時間割を作成する担任の姿も思い浮かべた。

 福岡県以外は固定式が主流

 九州7県の教育委員会に取材すると、週替わりの時間割は福岡県内の小学校で定着しているが、他県の小中学校では固定式の時間割が主流だという。

 各県教委ともに「時間割は学校長の裁量で決められる」と回答。小学校では、長崎、熊本、宮崎県で学期ごとの固定式が基本で、必要に応じて微調整しているという。佐賀、鹿児島県も固定式が多いが、学校によっては複数パターンの時間割を週によって使い分けたりもしているという。

 中学校では、福岡を含めて各県ともほぼ固定式。ただ、大分県では小学校は固定式が大半だが、中学校で最近、週替わりの時間割が増えているという。背景には教員の多忙化があり、出張などで担当教諭が不在になった際、別の専門教諭がカバーできるよう、やりくりするためだという。

=2016/10/09付 西日本新聞朝刊=

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