まるでゾウの鼻 長い口を持つ昆虫「ツバキシギゾウムシ」 産卵の道具にも

西日本新聞

 ゾウムシとは、その顔にゾウの鼻のように長い口がついているので付けられた名前です。

 日本に千種類以上の仲間がいて、その全部が長い鼻をしているかというと、そうではなく、ふつうの昆虫と同じようなものもいれば、このツバキシギゾウムシのように、ものすごく長い口をしているものもいます。

 長い口といえば、代表的な昆虫はチョウやガでしょう。チョウやガはストロー状の長い口を使って花の蜜などを吸っていますが、ゾウムシの場合は同じように長くても、その構造が違います。

 ゾウムシの場合は、この長い管状の口の先端がかむ形の口になっているのです。何故にこんなに長い形の口になっているかというと、この口はものを食べるためというよりも、卵を産むために必要な道具の役目をしているからだ、と考えられます。

 ツバキシギゾウムシは、木にツバキの実が大きくなる季節になると、どこからともなく現れて、実にとりつくと、かじりながら頭をぐるぐる回し、からだ自体も回りながら、数分間かけて実の根元まで長い口を差し入れます。そして引き抜くと、一歩前進して、その穴に尾端から出した産卵管を差し入れて、卵を産みつけます。

 卵から生まれた幼虫は、母虫が用意してくれたトンネルを伝って実の中心にある種にたどり着くと、まだ柔らかい種の部分を食べて成長し、大きく育つと、抜け出してきて、地上に落下して落ち葉の下の土の中に潜っていってサナギになるのです。


=2016/10/18付 西日本新聞朝刊=

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