時間割(3)2020年 文科省担当課長に聞く

西日本新聞

 2020年度に小学校で全面実施される新しい学習指導要領。3年生以上は英語の授業が年間35こま(1こま45分)増える予定だが、今でも学校のカリキュラムはパンパンで、福岡県の小学校では週替わりの時間割が定着している。新指導要領下で学校現場はどう時間割をやりくりすればいいのだろう。文部科学省の考えを聞いた。

   ◇   ◇

 「全国一律の姿を想定しているわけではありません。各学校の実情に合わせた『オーダーメードの時間割』が理想です」。教育課程課の合田哲雄課長は、まずこう強調した。

 増える授業時間に対応する方法は、1日当たりの授業時間を増やすか、休みを授業に充てるかの二つ。オーダーメードの時間割とは、これらをうまく組み合わせて、児童にとって最も望ましい学習環境を整えることだという。

 たとえば、始業前の15分間で漢字の書き取りや計算ドリルを行う「モジュール授業」は3回行うと、授業1回分に数えることができる。だが、朝から英語の発声練習をするとテンションが上がりすぎてよくないと考える学校もある。朝は少しざわついているような学校では、そもそも子どもたちがスムーズにモジュール授業に入っていけないところもある。

 一方で、給食後の午後にモジュール授業の枠を取って英語を実施している学校では「眠気覚ましに効果あり」という。始業前と給食後の1日2回、モジュール授業を行うこともあり得るし、そのために登校時間を早めたり、下校時間を遅くしたりすることも可能だ。

 土曜日は、親や地域の人が関わりやすいので総合的な学習に利用するところも多く、全国連合小学校長会によると、授業時間確保のために土曜日授業を行っているのは12年度に6%だったが、14年度には14%と倍増している。

 そういった学校ごとの実情に合わせたきめ細かい対応が必要で、合田課長は「問われるのは、時間割に対する各学校や各教育委員会の構想力とデザイン力だ」と語る。

   ◇   ◇

 いってみれば、福岡県の週替わりの時間割はオーダーメードの典型だ。合田課長によると、週替わりの時間割は、親がこまめに時間割をチェックするので、子どもたちが今何を学んでいるかを把握しやすいとのメリットはよく耳にするという。

 だが、時間割に限らずオーダーメードは手間暇がかかる。福岡以外の九州に広がっていない理由の一つとみられ、民間の全国調査でも、週単位で異なる時間割を行っている小学校は10年度で約29%にとどまっている。時間割を作成する先生たちの負担をどう軽くするかも、2020年度に向けた大きな課題の一つだ。

 このため文科省では、新たに設置した有識者会議で7月から、弾力的な時間割編成についての議論をスタート。年内には先進的な事例の紹介も含めて、議論の結果をまとめる予定で、合田課長は「学校側に丸投げはしない」と話している。

 合田 哲雄氏(ごうだ・てつお) 1992年文部省(現文部科学省)入省。2000年9月から2年間、福岡県教委高校教育課長として出向。15年1月から現職。「福岡県での経験が教育行政に携わる基盤になった」。大学生と高校生の1男1女。岡山県倉敷市出身。46歳。

 新指導要領で英語の授業増加

 文部科学相の諮問機関「中央教育審議会」が8月にまとめた新学習指導要領案では、小学5、6年の英語が「外国語活動」から「外国語」に格上げされ、「外国語活動」の導入は小学3年からに前倒しされる。年間授業時間数は小学校全体で140こま増えて5785こまとなり、1980~2001年度と同じになる。

 1週間当たりの授業数は現在、小学6年では28こまが63%、29こまが32%。週に1日は放課後にクラブ活動や児童会活動があるため、29こまの場合は実質、毎日(月~金曜日)6時限目まで学校にいることになる。

 新学習指導要領の導入に伴い、プログラミング教育も必修化され、総合学習や音楽などでコンピューターを使った授業も実施される。

 2015年度の文科省調査によると、1回15分程度の短時間学習(モジュール授業)を導入している小学校は75%で、主に読書、計算ドリル、漢字の書き取りを行っている。ただ、読書の時間を授業時間としてカウントしているところは1割に満たない。

=2016/10/16付 西日本新聞朝刊=

PR

教育 アクセスランキング

PR

注目のテーマ