競りを観戦する 福岡のベジフルスタジアム 鮮度よし、威勢よし

西日本新聞

 競り場に柿、ミカン、ナシなど秋の味覚がずらりと並ぶ。北海道産の玉ネギ、青森産の長芋など産地もさまざま。箱入りで積まれたマツタケには思わず見入った。福岡市中央卸売市場青果市場(東区みなと香椎、愛称・ベジフルスタジアム)を毎月第3土曜の感謝祭に合わせて訪れた。

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 15日午前7時半。既にあちこちで競りが始まっていた。「3250円!」。価格を叫ぶ競り人。買い手は手のひらサイズの黒板にチョークで値段を書き込み掲げる。威勢の良い掛け声に気迫が伝わってくる。

 卸売市場は取引業者以外は原則立ち入り禁止だが、ここは2階から見下ろせる専用通路が競り場を囲み、いつでも見学できる。迫力ある競りが繰り広げられる様子は壮観。スタジアム(競技場)の愛称に納得する。

 赤い帽子が競り人、緑色の番号カード付きの黒い帽子が小売店。時々、緑色の帽子が見える。農産物を直接持ち込む生産者という。

 市場は今年2月に開場したばかり。博多湾の一部を埋め立てたアイランドシティ内にあり、敷地はヤフオクドームの2倍超という約15万平方メートル。野菜や果物の鮮度を保つため温度を15度に維持する日本最大規模の定温卸売場も備え、物流拠点としてアジアもにらむ。

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 感謝祭は「市民が気軽に来られる市場を目指す」(三宅和博・青果市場長)取り組みの一つ。乾物、総菜などを扱う店や飲食店が軒を連ねる市場内の青果市場会館は普段も出入り自由。この日は特設売り場で青果も売られていた。「安くてきれい。テンションも上がるね」。友人2人と訪れた曽我部久美子さん(60)はレンコンを千円で箱ごと買い求めた。家族4人で来た小学2年、山岡健善(つよし)君(7)はお目当ての駄菓子をゲットした。「市場を見学して社会科の勉強にもなりました」と母親の景子さん(38)も笑顔だ。

 事前に参加者を募集して開く料理教室もあり、この日はキノコ料理。JA福岡大城(おおき)(同県大木町)の女性陣が講師を務める。「エノキタケの切り落とす部分は1センチ。残りはまな板の上で箸でほぐすように分けて」と下ごしらえのこつを伝授。参加者はピクルス、オイル炒めなど簡単レシピに和気あいあいに取り組んだ。

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 中央卸売市場は、生鮮品の安定供給と公正で迅速な取引を目的に自治体が開設するが、市場価格は需要と供給で変動する。今秋は天候不順のため不作で、全体的に高値で推移している。「何買うても高い。キュウリが5キロ3千円とか売るもんないよ」。福岡市の青果業、田代隆さん(72)は、そう言いながら、比較的安い農家の持ち込み品を10種ほど仕入れた。

 この高値について卸売の福岡大同青果は「九州産のニンジン、ジャガイモ、大根などが出回る11月中旬から年内には平年並みに落ち着くのでは」と話している。

 締めの昼食は会館内のローストビーフ丼の店。サラダバイキングで新鮮な野菜も堪能した。ミカンとバナナの袋を手に、干物などの海産物を扱う永松商店でだしパックを購入、ちょっと得した気分でスタジアムを後にした。

 ▼九州の主な卸売市場のイベントなど 宮崎市中央卸売市場は毎月第1、第3土曜に食堂街と関連店舗を開放する「カンカン市」を開催。大分市公設地方卸売市場は毎月第2土曜、同様に開放。熊本市の熊本地方卸売市場は毎年12月第1日曜(今年は4日)、長崎市中央卸売市場は11月20日に開放イベントを開く。見学はいずれも団体で事前に申し込む。


=2016/10/26付 西日本新聞朝刊=

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