おばちゃん力で世界変えるでぇ 愛とユーモア 全日本おばちゃん党代表代行 谷口真由美さん

西日本新聞

 ●独善的オッサン社会に物申す しんどい少数者に合わす方が楽ちんや 
 大阪の「おばちゃん」を中心に結成されたインターネットのグループ「全日本おばちゃん党」代表代行で大阪国際大准教授の谷口真由美さん(41)が22日、福岡市で講演した。テーマは「『おばちゃん』が愛とシャレで世界を変える」。大阪弁でユーモアたっぷりに「オッサン社会」に物申した。

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 全日本おばちゃん党は2012年9月、政党の党首選の候補者が中年以上の男性ばかりなのを見た谷口さんが、会員制交流サイト・フェイスブックで「オッサンによるオッサンのためのオッサンの政治やん」とぼやいたのが始まりだ。「なら、おばちゃんの党を立ち上げようか」。この呼び掛けに一晩で300人が賛同、現在「党員」は女性ばかり5700人を超える。

 41歳ながら「おばちゃん」を自称。「おばちゃんは分からんことは『分からへん』、おかしいことは『おかしい』て言う。自分をおばちゃんって認めるのは、ある種の女性解放やと思う」

 おばちゃん党は、「うちの子もよその子も戦争には出さん!」「子育てや介護をみんなで助け合っていきたいねん。そんな仕組み、しっかり作ってや」「力の弱いもん、声が小さいもんが大切にされる社会がええねん」などと訴える。

 男性全てを排除するわけではない。「手を組めるのは『おっちゃん』。上から目線で独善的な『オッサン』が憎々しい。簡単に見分ける方法は、ありがとう、ごめんなさい、おめでとうの三つが言えない人。オッサンみたいな女性は『オバハン』と呼びます」

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 国会の女性議員比率は11・6%(15年9月現在)。政府は、議員や管理職など指導的地位に占める女性の割合を20年までに30%に引き上げる目標を掲げる。「国連総会でも日本の国会でも、今の男女比率が逆転した状況ってまだ誰も見たことない。見てみたいし、何か変わる」

 人口は男女半々なのに、なぜ3割? 「3割は意味がある」と谷口さんは言う。「友達10人で、山に行きたい人が9人、海に行きたい人が1人やったら、1人の意見はほぼ無視される。けど、3人なら少数意見の存在に気付く。4人なら話し合いが始まり、5人なら別の選択肢が増える」「少数意見が無視されない3割になるまでは、女性にげたを履かさなあかん。それは差別に当たりません」

 自身も少数者の息苦しさを肌で知っている。「子どもを産んだ後、男性の同僚に『何で子どもがおるのに、仕事してんの?』と聞かれました。男性はそんなこと聞かれますか。少数者なんやと実感しました」

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 「少数者は目立つし、たたかれやすい。少数者が社会で『分からん』って言うたとき、多数者が『常識やから』とか言うのをやめて、ちょっと配慮して分かるように説明して」「しんどいとか、嫌やとか言うてる人に合わせた方が、楽ちんな社会になりますよ」

 でも、おばちゃんは決して声高に主張はしない。「みんなが機嫌良う暮らしていけるよう、放っとかないのがおばちゃん、おっちゃん。真正面から言うとギスギスするから、ユーモアと風刺を忘れず、笑って共感してもらう。すると、世の中はちょっとずつ変わるんです」

 ▼たにぐち・まゆみ 大阪市出身。専門はジェンダー法、国際人権法。TBSテレビ「サンデーモーニング」などにコメンテーターとして出演。1女1男の母親でもある。著書に「日本国憲法 大阪おばちゃん語訳」(文芸春秋)、「憲法って、どこにあるの?」(集英社)など。


=2016/10/27付 西日本新聞朝刊=

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