乳がん検診受けよう 専用車両運行 啓発マスク提供 飯塚の会社活動

西日本新聞

 福岡県飯塚市のマスクメーカー「CROSSEED(クロシード)」が、乳がん検診の啓発運動「momoプロジェクト」に取り組んでいる。ピンクリボンをあしらったマスクの販売、独自に購入した乳がん専用検診車の運行-。10月は検診や早期治療を促す「ピンクリボン月間」。辻政和社長(60)は「検診を意識するきっかけになれば」と期待する。

 同社は2003年創業のベンチャー。京都府立大大学院と連携し08年に商品化した抗体マスクが注目を集めた。一般のマスクは細かなフィルターが飛沫(ひまつ)物の侵入を防ぐが、抗体マスクはダチョウの卵黄から作る抗体がウイルスを捕まえて感染力と増殖力を失わせる。辻社長によると、当時、新型インフルエンザの大流行が懸念され、大企業を中心に抗体マスクの備蓄が相次いだという。

 経営体力を一気に付けたこともあり、社会貢献として10年秋、「momoプロジェクト」に乗り出した。新たに開発した家庭向けの高規格マスクにピンクリボンのマークをデザインしたほか、1億2千万円を投じて検診車を購入。「乳がん検診率の低さ、とりわけ医療従事者や障害者施設の利用者の低さが気になった」と、辻社長は振り返る。親類が福岡市内で乳腺外科クリニックを開業していることも後押しした。

 ピンクリボンマスクは年間20万枚を生産。ピンクリボン月間の10月に注文が殺到するという。医療分野の学会や行政が主催する検診の啓発イベントなどに無償提供しているほか、12年から九州の調剤薬局でも販売。大学病院など医療機関のロビーに自動販売機(1枚100円)も置いた。マスクの売り上げの一部をプロジェクトの活動費に充てている。辻社長は「健康をサポートする会社ならではの貢献を続けたい」と語る。

 ●エコー検査対応、障害者施設など巡回

 「momo」と名付けられた検診車には乳房を圧迫板に挟んでエックス線撮影するマンモグラフィーと超音波診断装置(エコー)を備える。更衣スペースも確保している。女性の医療従事者が検査を担う。

 CROSSEEDによると、2013年春から、福岡県内の障害者施設を中心に訪問検診を開始。「障害の程度によっては利用者を検診に連れて行くのは大変。障害者の検診の機会を増やすのが目的です」と、同社営業部の右寺佳代子さん(51)。医療機関や教職員の研修先を含め年間の出動回数は50回前後。初回の検診は無料で実施し、翌年以降は1人8千~9千円の実費を徴収している。

 高機能の医療機器を搭載しているため、同社駐車場で待機中も外部電源を活用し、車内の湿度や温度を管理しているという。右寺さんは「momoの活躍の場をもっと増やしたい」と話している。CROSSEED=0948(29)1761。


=2016/10/29付 西日本新聞朝刊=

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