【きょうのテーマ】鳥獣戯画を見に行こう 「日本最古の漫画」 九州国立博物館で公開

西日本新聞

 ●動物の姿生き生き 時代を超えた面白さ 
 教科書にも出てくる国宝「鳥獣人物戯画」(通称「鳥獣戯画」、12~13世紀、京都・高山寺所蔵)が20日まで、福岡県太宰府市の九州国立博物館で公開されています。「日本最古の漫画」ともいわれる名品を間近に見ることができる貴重な機会。こども記者3人があの有名なウサギやカエルたちに会いに行きました。

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 特別展の入り口には遊んでいるウサギを描いた「鳥獣戯画」の一場面が大きく引きのばされた看板があった。稲川ひまり記者は「ウサギが『早くおいで』と言っている」とわくわくしながら入場した。

 展示を担当した九州国立博物館の森實(もりざね)久美子研究員の案内で会場に入ると、いきなり「鳥獣戯画」の世界が広がっていた。

 国宝を目の前にした稲川記者の印象は「思ったより小さいが、細かく描かれていてきれい」。和紙に墨で描かれているが見つめているうちに「まるで色がついているようだ」と感じた。中川智裕記者も同じことに気づいていた。「場所によってグレーに見えるところがある。墨の濃さをうまく調整して描いている」と目をこらした。

 漫画やアニメが大好きな中川記者は「鳥獣戯画」がその「元祖」と聞いたことがあり、森實さんに「どこが漫画的なのか」と尋ねた。「これを見て」と森實さんはカエルの絵の口元を指さした。煙をはいているような線が見える。「まるで話しているよう。漫画のせりふを入れる『ふきだし』と同じ効果とも考えられています」との森實さんの説明に、中川記者は「やはり『漫画の祖』だった」との思いを強めた。

 中川記者は「動物たちのリアリティー」にも注目した。「本物そっくりに描かれている。特にカエルは背中の筋肉や模様まで細やかに再現されている。こんなテクニックが昔からあったとは」と絵師の表現力に目を見張った。

 森實さんはこども記者に「『鳥獣戯画』はだれが何のために描いたのかなど謎だらけ。でも遊んでいる動物たちの姿は私たちを楽しませてくれる。平安時代の人も同じ気持ちで見ていたのでは。時代を超えて変わらない面白さがこの絵巻のすごさ」と語りかけた。

 昔の人は長い絵巻をどんなふうに広げて見ていたのだろうか? 特別展を見た後、森實さんに尋ねると、「平治物語絵巻」の複製品を取り出した。机の上で肩幅ほどの長さに広げ、「展示と違い絵巻を全部広げて見ることは普通しません。左手で少しずつ広げながら、右手で巻いて物語を楽しみます」と手慣れたしぐさでお手本を見せてくれた。

 稲川記者は「テレビや本は寝っ転がって見たり読んだりできるが、絵巻はきちんと座っていないと読めないな」と人の手で広げるのが絵巻の楽しさと知った。

 (展示替えで現在は別の巻を紹介しています)

 ●夢の中でも修行 高山寺にゆかり、明恵上人の努力と覚悟

 中野冴弥子記者は「鳥獣戯画」のことを調べているうちに、作品を所蔵する高山寺(京都)にゆかりが深い明恵上人(みょうえしょうにん(1173~1232)の存在を知った。会場に展示されている、明恵が見た夢を自分の筆でしたためた「夢記」(重要文化財・鎌倉時代)には「鳥獣戯画」以上の強い興味をかき立てられた。

 明恵は18歳から約40年間「夢の日記」をつづった。中野記者が「なんのために夢を日記にしたのか」と聞くと、学生時代に明恵にひかれ、高山寺に通い続けたという森實さんは「私も明恵のまねをして夢を日記にした。でも目覚めるとどんな夢だったかすぐ忘れてしまう」と笑い、夢を記録し続ける難しさを語った。

 森實さんの「明恵は生活のすべてを修行に結び付けていました。夢は神仏からの大事なメッセージと考え、何かを読み取ろうと懸命に書き留めたのでしょう」という答えに、「夢の日記を書くことなんて簡単なこと」と考えていた中野記者は「すごい努力だ。明恵は夢の中でも修行していたのか」と感心した。

 仏教を開いた釈迦を慕い、人々を救うため身をささげる覚悟を示す修行「捨身」のために、明恵が右耳を切ったというエピソードを森實さんから聞いた中野記者は、「さすがに自分の体を傷つけることはしないけれど、私もなにかにあこがれを持ち、できる範囲のことをやって、明恵のような立派な人になりたい」と心を決めた。

 展示を通じて、明恵の信仰への「努力と覚悟」に感動した中野記者は、「この特別展でたくさんの人に『夢記』など自分が書いたものを見てもらい、明恵上人もとても喜んでいる」と信じている。

 ◇特別展「京都 高山寺と明恵上人-特別公開 鳥獣戯画」 20日まで福岡県太宰府市の九州国立博物館。問い合わせはNTTハローダイヤル=050(5542)8600。

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=2016/11/02付 西日本新聞朝刊=

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