小学校英語(2)どう教える 先生たちも手探り

西日本新聞

 小学5、6年生が現在、教科外で学んでいる外国語活動(英語)。同学年の児童は2020年度から、正式な教科として英語を学ぶ。授業はどう変わろうとしているのか。福岡市の校長会が主催する授業研究会の取り組みを取材した。

 10月中旬、福岡市城南区の長尾小学校。6年生約30人のクラスの授業が公開され、周辺校も含めた校長や教員約20人が集まった。

 授業の冒頭、教室のテレビ画面には、地球の反対側であったリオデジャネイロ五輪の一場面が映し出された。藤野博司教諭が問いかける。「みんなオリンピックは見てた? (画面の)時刻は朝なのに、試合会場はなぜ暗いんだろうか」

 「時差」や「時間」をテーマにした英語授業。日本人のゲストティーチャー(GT)が世界各地の時間にちなんだQ&Aを児童と始めた。もちろん、堪能な英語で。

 「ワット タイム イズ イット?」「スリー オクロック」。児童たちもGTに続き、繰り返し発音した。

 「時差時計」も一人一人に配られた。時計盤には日本を含む世界18都市の目印があり、一つの都市の時刻を定めると、他の都市の時刻が分かる。児童は、隣の子と口々に話しながら、針を動かしていた。

 「時差」は中学1~2年の社会で本格的に学ぶ内容だが、小学校英語に取り入れた。社会、算数、英語の学習内容を含む、教科横断型の授業だった。

   ◇   ◇

 授業後、藤野教諭を囲んで議論が始まった。最初の論点は時差の取り扱い。本来は児童自身の「気付き」を待つべきであり、藤野教諭が前段で説明したら、児童は「知るだけ」になってしまうという指摘があった。

 では、どう気付かせるのか。「イギリスの子どもが3時のおやつを食べているとき、日本の子どもたちは、アメリカの子どもは何をしている時刻かな? そんな問い掛けの方が、児童の気付きを促すのではないか」との意見が出された。

 「学習内容を詰め込みすぎ、教材を生かし切れていない」という指摘もあった。

 全国の小学校の多くは現在、文部科学省の教材「Hi, friends!(ハイ・フレンズ)」を使って外国語活動の授業をしている。現行指導書の「年間指導計画例」は別表の通り。「時差に気付く」という学習項目もこの中にある。

 単に基礎英会話を児童に刷り込むのではなく、世界に興味関心を広げ、英語の学習意欲を高める授業とはどんな姿か。教員たちは、アンケートで児童の反応も探りながら、授業研究を続けていた。

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 この授業、正式な教科となる4年後にはどうなっているのだろう。

 文科省が8月に明らかにした新学習指導要領案によると、今は「聞く・話す」だけだが、小5から月日やスポーツ、食べ物などを題材に、アルファベットを「読む」「書き写す」などが加わる。小6では「日本と世界の国々との共通点や違い」などをテーマに学ぶという。

 でも、まだぼんやりしていて、どんな教科書? 中学校英語との線引きは? 通知表は何を基準にどう評価するのか、見えない部分が多い。

 教える側の態勢も懸念される。福岡市のGTは100人。小6は年間35こまの授業全てにGTが加わるが、小5は35こまのうち15こまだけ。3年生から英語学習が始まれば、現在の要員では足りず、教員と連携したチームティーチングができるのか。これまでのようにGT依存型の授業でいいのか。そんな疑問もある。

 小学校教員の多くは、大学教職課程で英語指導法を履修していない。「英語を教えることに難しさを感じている教員でも安心して授業できる環境にしないと」と、研究委員長の長門直子・片江小校長。校内研修や教員間の指導ノウハウの共有がこれまで以上に求められるという。

 先生たちは重い宿題を抱え、また忙しくなりそうだ。

=2016/11/13付 西日本新聞朝刊(教育面)=

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