子ども食堂 最前線(1)高齢化団地「孤食」防げ

西日本新聞

 土曜日の夕暮れ時。星の原団地(福岡市早良区)の真ん中にある集会所から、カレーの香りが漂う。

 入り口には「星の原やすらぎ食堂」「本あります ご自由にお持ち帰りください」という手作りの看板。サッカーボールを抱えた子どもからお年寄りまで、70人を超える住民が次々とやってくる。カレーは子ども100円、大人200円。おかわりは無料だ。

 高度経済成長期の1970年代にできた星の原団地は66棟2200戸を抱え、高齢化率は3割を超える。子どもの数は減り、住民関係の希薄化も進む。

 「独り暮らしの高齢者や留守番をしている子どもが集える場がほしい」。今年に入り、管理者の都市再生機構(UR)九州支社と町内会の意見交換会で、こんな声が上がった。

 「子ども食堂はどうですか?」。UR職員の発案に、子育て経験のある女性たちが動き、8月に「団地食堂」が誕生した。今はまだ2カ月に1度の開催だが、「無理なく楽しく、みんなの個性を大事にしたい」と町内会役員の本岡美津子さん(60)は言う。

 食材は団地内で野菜の出張販売をしている「道の駅歓遊舎ひこさん」(福岡県添田町)や地元商店などが無償で提供。URの仲介で、レンタル大手TSUTAYA(ツタヤ)の子会社「九州TSUTAYA」(福岡市)が協力し、住民が立ち寄りやすくするために古本図書館も併設した。福岡大の学生たちがボランティアで受け付けや子どもたちの宿題を手助けしている。

 団地食堂はURとしても全国初の試み。九州支社の中村直寿団地マネジャーは「地域コミュニティーの活性化は公団住宅の価値を高めることにもつながる。他の団地にもノウハウを広げたい」と話す。

 カレーを頬張る小学6年の内田有咲(ありさ)さん(12)は「いろんな人とおしゃべりしながら食べるのは楽しい」。同じテーブルに着いた団地暮らし20年以上の藤原満子さん(73)は「最近は閉じこもりがちでした。いいですね」と目を細めた。

 集会所の調理場が狭く、食材を保管する冷蔵庫もないなど課題はあるが、本岡さんは「孤食になりがちな住民が温かい雰囲気で過ごせるよりどころにしたい」と意気込む。

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 この1年で九州各地に急増した子ども食堂。活動の様子や課題を紹介する。

=2016/11/17付 西日本新聞朝刊=

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