子ども食堂 最前線(4)笑顔集う平成の「寺子屋」

西日本新聞

 大分県別府市の西念寺。高橋護住職(64)が「作ってくれた方々に感謝して、いただきましょう」と呼び掛けると、40畳の座敷に集まった約30人の子どもが手を合わせた。

 西念寺では今年4月から月1回、「あんのん子ども食堂」を開催。参加費200円で、対象は3歳から小学6年までだ。共働きの世帯が増え、子どもの食生活の乱れや孤食を心配する高橋住職が「みんなで食事することで、食の大切さや楽しさを知ってほしい」と考え、寺の門徒婦人会が共感した。

 この日のメニューはキノコの炊き込みご飯、魚のフライ、カボチャのコロッケ…。小学3年生の堤内美麗さん(9)は「お寺ってにぎやかで楽しい。友達を誘って毎回来てるよ」と満面の笑み。見学に訪れる人もおり、西念寺を参考に来春、別府市内に新たな子ども食堂が誕生する予定だ。

 江戸時代には、寺院で庶民の子どもに読み書きなどを教えた「寺子屋」が広がった。平成のいま、全国で子ども食堂を始める寺院は増えている。寺院には子どもが集まれる空間や台所のほか、婦人会などのマンパワーもある。

 高橋住職は「寺院は子ども食堂を開くのに恵まれた環境がそろっている。地域の住民も巻き込んで、みんなで子どもたちの笑顔を守っていきたい」。婦人会メンバーの後藤節美さん(78)は「お寺は地域のみんなが気兼ねなく集う場。『おいしい』と言いながら皿を空にする子どもを見てると、心がほっこりします」。食材は門徒たちが寄贈し、8月からは、県社会福祉協議会が運営するフードバンクもお菓子を提供するようになった。「あんのん」は「安穏」の意味。食の大切さを伝えることが、平穏な社会につながると信じて活動を続ける。

=2016/11/22付 西日本新聞朝刊=

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