子ども食堂 最前線(5)心をほぐす工作の時間

西日本新聞

 食事の提供にとどまらず、学習や調理体験などさまざまな教育を組み合わせる子ども食堂も少なくない。福岡県大野城市の「おおのじょう こども食堂おおり」は個人のアトリエを活用し、子どもたちは無料でご飯とみそ汁を食べた後、粉末の絵の具で描くパステルアートや折り紙を使った工作体験ができる。

 スタンプでオリジナルのカードを作った小学生は「お父さんに早く見せたい」。パステルアートに挑戦した別の小学生は「初めて体験することばかりで楽しかった」と笑顔を見せた。

 IT企業に勤めながらクラフトの技術を磨いてきた代表の安川真澄さんは「子どもたちに手作業によるものづくりの楽しさに触れてほしい」と狙いを語る。退職後、地域貢献に取り組みたいと考えていたところ、同市で子ども食堂を運営する大谷清美さんから「あなたもやってみたら」と勧められ、決断した。

 個人の負担は大きい。食材はフードバンクから提供を受けているが、チラシのコピー代、保険代、光熱費と費用がかさむ。「思うように募金が集まらず、運営費が一番の課題」と安川さん。月1回程度の開催が目標だが、3月の開設からの開催数は4回にとどまる。だが、回数を重ねるごとに地域に浸透していると実感する。すれ違う子どもたちから「また今度行くね」と声が掛かる。10月の子ども食堂には63人が訪れた。

 子ども食堂に教育を組み合わせる意義を大谷さんは「食堂は本当に困っている子どもを支援につなげる窓口でもある。ものづくりを通じて距離が縮まれば、子どもにとっても、抱えている課題を打ち明けやすくなる」と強調する。安川さんも「困っている時に頼りになる、子どもたちの居場所を目指したい。気負うことなく、息長く続けていきます」と決意を語った。 =おわり

=2016/11/23付 西日本新聞朝刊=

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