心筋梗塞悪化抑制 タンパク質を特定 九大院

西日本新聞

 心筋梗塞後に心筋の壊死(えし)が広がるのを抑制するタンパク質を、九州大大学院薬学研究院の仲矢道雄准教授(分子生物学)らのグループが発見した。心筋梗塞状態のマウスの心臓にこのタンパク質を投与すると、投与しなかったマウスに比べて壊死部分は2分の1に抑えられた。新たな治療法開発や創薬への応用が期待される。

 心筋梗塞は、心臓に酸素や栄養を運ぶ冠動脈が動脈硬化などで詰まることによって起き、心筋の壊死範囲が大きいほど命の危険が高まる。壊死細胞を放置すると核内物質が漏れ出て壊死がより広がることが分かっているため、壊死細胞を別の細胞が食べて素早く取り除く「貪食(どんしょく)」を促進させることが病態悪化を防ぐのに有効とされていた。

 研究グループは、心筋梗塞を起こすと普段は存在しないタンパク質「MFG-E8」が患部に集まる点に着目。これが貪食を助けていると仮定し、冠動脈を縛って心筋梗塞状態にしたマウスの心臓にMFG-E8を1・6マイクログラム投与したところ、投与しなかったマウスは左心室の約20%が壊死したのに対し、投与したマウスは約10%で済んだ。

 心筋梗塞を中心とした心疾患は、日本人の三大死因の一つ。心筋梗塞は、冠動脈にカテーテル(細い管)を通してステント(網目状の金属)で詰まりを解消する治療法が一般的で、仲矢准教授は「ステントにMFG-E8を含ませ患部で染み出るようにすれば、壊死の拡大を防げるのではないか」として、臨床への応用に期待を寄せた。

 研究成果は米科学誌ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション(電子版)に6日、掲載された。


=2016/12/07付 西日本新聞朝刊=

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