高齢者の健康 遠隔管理 福岡の医療機器メーカー開発 体温や血圧の異常を検知

西日本新聞

 福岡県大野城市の医療機器メーカー「芙蓉(ふよう)ディベロップメント」は、市内で筑紫南ケ丘病院と介護施設を運営する医療法人「芙蓉会」、長崎大医学部と連携して、遠隔健康管理システム「まいにち安診(あんしん)ネット」を開発した。高齢者の体温や血圧などバイタルデータを蓄積し、日々の測定で基準域に収まらなかった場合には異常を自動検知する仕組み。担当者は「健康状態の悪化を早期に把握することで、早期治療につなげたい」と話す。

 芙蓉会の介護施設で試験運用しており、10月に鳥取県で開催された第20回日本遠隔医療学会学術大会で検知の有効性などを発表した。経済産業省の本年度新連携支援事業に採択されており、高齢者の既往歴や看護(介護)記録を入力する項目を追加した上で来年春の市販化を予定している。

 安診ネットは介護施設向けで、介護士が利用者の脈拍、呼吸数、酸素飽和度を含むデータを毎日計測してパソコンで情報を共有。医師は訪問しなくても利用者の健康状態を把握できるほか、普段と異なる体温の変化などで病態を判断し受診を促す。異常を自動検知するため、万一の見逃しも防ぐことができるという。

 「例えば、認知症のお年寄りは自覚症状を伝えることができず、放置すると、病態が重症化する恐れもある」と、芙蓉会の前田俊輔代表は安診ネットの必要性を説明する。高騰する医療費抑制のため、慢性期の入院患者の受け皿として介護施設の活用が見込まれたことから、2008年から開発に着手した。

 市販前には介護施設を備える全国10カ所の医療機関でも検証する計画。筑紫南ケ丘病院の伊達豊名誉院長は「データは看護や介護の現場で参考になり、早期の医療介入が期待できる」と話している。


=2016/12/10付 西日本新聞朝刊=

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