学費詐取され急死 波紋 中国、大学入学直前の18歳 携帯電話で詐欺、まん延

西日本新聞

 【北京・相本康一】大学入学直前に学費をだまし取られ、心臓まひで急死した女子学生のニュースが中国で波紋を広げている。女子学生は申請した奨学金の支給決定を装った携帯電話の連絡で被害に遭った。急速に普及した携帯電話を悪用した詐欺は中国社会にまん延しており、個人情報保護の問題も浮かんでいる。

 中国紙、新京報によると、亡くなったのは9月に大学進学を控えた山東省の18歳。今月17日、奨学金を申請したところ、2日後に男から携帯に「2600元(約4万円)の奨学金を支給する」と電話があった。20分以内に最寄りの現金自動預払機(ATM)へ行き、銀行カードの取引に必要な送金をするよう指示され、預金9900元を指定された口座に移した。

 その直後から男の電話は不通に。女子学生の母親は体が不自由で、詐取された金は父親が働いて用立てた学費だった。女子学生は地元警察に被害を届け出たが、帰宅途中に倒れ、2日後に死亡した。「被害直後に亡くなったのは偶然かもしれないが、貧困家庭にとっては命に関わる話だ」(中国紙)と同情する声が拡大し、警察当局は福建省出身の男ら5人を拘束した。

 似た手口の被害は各地で多発。山東省では、上海の警察を名乗る男から「あなたは不法資金洗浄事件に巻き込まれた。指示通りにしないと刑務所に入ることになる」と携帯電話で脅され、学費6800元をだまし取られる事件が起きた。中には被害者が急死したケースもある。

 中国では携帯電話で直接不動産などを売り込む手法が一般化。当局によると携帯電話やインターネットを使った詐欺被害は2016年上半期だけで28万件、被害総額は80億元に上るという。中国紙、北京青年報は「携帯電話契約の実名制が全面導入されず、犯罪の温床になっている」と指摘。常態化する個人情報漏えいへの懸念も広がっている。

この記事は2016年08月29日付で、内容は当時のものです。

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