乳和食 牛乳のうま味が減塩に

西日本新聞

 意外だったのは魚料理とよく合うということだった。牛乳の風味が主張せず、まろやかさはアップ。魚のくさみも感じない。この日のメインのおかず「サバのあぶりミルクみそ煮」だ。

 和食と牛乳。一見ミスマッチのような気もするが、「乳和食」という調理法があると聞いた。どんなものか確かめようと福岡県筑前町の永利牧場を訪れた。多目的ロッジ「まきばの家」でいただいたのは「乳和食ご膳」。ご飯、みそ汁、漬物、おかず5品すべてに牛乳を使っている。

 「マグロミルク納豆とろろがけ」は、なぜか納豆の味がくっきり。「揚げ出しミルクごま豆腐」はまったりとした舌触りを堪能した。酢漬けにも使われる乳清(ホエイ)のあんは酸味が利いている。

 「塩分量は普通の和食の半分程度です。しかも薄さや物足りなさを感じることなくおいしく食べられます」。牧場を運営する永利牛乳(同県太宰府市)の長谷川章子専務が乳和食の魅力をアピールする。

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 同社は、国が推進する「一元集荷・多元販売」方式とは逆に、生産から販売までを一貫して手掛ける全国でも数少ない牛乳メーカーの一つという。一元集荷・多元販売方式では、効率的な生産のため、生乳を生産する酪農と、生乳を集約・加工処理して牛乳にする乳業に分かれている。同社は一体経営を続け「産地の見える」牛乳にこだわってきた。

 生産基地となる牧場は現在、牛約180頭を飼育しており、うち約100頭が搾乳牛。品質の良い牛乳のために牛の餌に気を使う。自家栽培のトウモロコシを原料にした発酵飼料は、豊富に含まれる乳酸菌が腸内環境を整えるという。

 「まきばの家」は牛乳に対する理解を深め、酪農への関心を高めてもらおうと昨年オープンした。乳和食の提供もそうした取り組みの延長上にある。

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 乳和食の最大の特徴は減塩効果だ。「牛乳のこくとうま味成分アミノ酸に加え、乳糖の穏やかな甘味、わずかな塩味が絶妙に溶け合って生まれるまろやかさが料理に深みを与えてくれるのです」。乳和食を提唱する料理家、小山浩子さん=東京=が説明する。魚料理に合うのもくさみを吸収してくれる牛乳の特性があるからだ。栄養面でも不足しがちなカルシウムを補える。

 乳和食ご膳で取れる牛乳は約200ミリリットル。素材のうま味を引き出す調味料としての牛乳が、和食の魅力を引き立てる。まずは垂らせばできる、簡単なミルク納豆、みそ汁あたりから挑戦してみようか。

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 乳和食ご膳は1200円(昼食のみ、要予約)。小山さんを招いて親子で乳和食を作るワークショップが18日午前10時~午後2時、まきばの家で開かれる。カボチャのミルクそぼろ煮、ホエイピクルスなどで乳和食弁当を作る。参加費は親子1組3千円。先着30組。申し込みは永利牛乳=092(922)2133。

 〈簡単レシピ・サバのミルクみそ煮〉

 【材料・4人分】50グラム程度のサバの切り身4枚、牛乳120ミリリットル、砂糖大さじ1、酒大さじ2、みそ大さじ1、おろしショウガ少々

 【作り方】鍋にサバ、牛乳、砂糖、酒を入れて強火で沸騰させる(2)沸騰したら弱火にしてみそとおろしショウガ少々を入れ、クッキングシートで落としぶたをする(3)水分がなくなるまで煮込めば完成。

 〈メモ〉小山さんによると、乳和食の牛乳の使い方は大きく分けて五つ。(1)だしの代わり(2)煮炊きをする(3)ゆでる・ゆで戻す(4)小麦粉などを溶く(5)乳清とチーズに分離して使う。(5)は、牛乳を80~90度に温めて米酢を入れ静かに混ぜる。人肌まで冷まし、布巾やキッチンペーパーでこして分離する。


=2016/06/15付 西日本新聞朝刊=

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