みそ造り「食養生の要」 食育保育園の映画製作 VIN OOTA監督 「体験兼ねた上映会に」

西日本新聞

 玄米和食の給食やみそ造りなどユニークな食育で知られる福岡市早良区、高取保育園の取り組みを1年間かけて映像に収めたドキュメンタリー映画「いただきます みそをつくるこどもたち」が完成した。監督は映像作家のVIN OOTA(ビン・オオタ)さん(55)=東京。自ら撮影、編集も手掛けたVINさんに撮影を通して感じたことや作品に込めた思いなどを聞いた。

 -撮影期間、印象に残ったことは。

 「園内のいろんな場所できちんと正座した子どもの姿に心打たれた。長期にわたる撮影中、200人を超える園児同士のけんかをほとんど見かけなかった。和食に含まれる豊富なミネラルが『興奮ホルモン』とされるアドレナリンを抑える、との学説があり、映画でも小泉武夫・東京農大名誉教授が解説している。日本の食養生の伝統が温和な人間を形成する好例ではないか。穏やかで落ち着いており、保育園というより人間道場のような趣があった」

 -作品に込めた思い、見てほしいところは。

 「熱加工していない酵母が生きたみそは、腸内環境を整える。その意味で食養生の思想の要ともいえる食材。200人超の園児が毎日食べるみそは毎月100キロで、そのすべてを5歳児が仕込む。映画でも、みその造り方を5歳児が4歳児に教える場面がある。誰でも、自宅で、安価に、手軽にできる手づくりみそは生活習慣病があふれる現代にこそ、必要な伝統だ」

 「和食はユネスコの無形文化遺産に登録された。料亭などの高級和食のイメージが強いが、大切なのは『家庭の和食力』。高取保育園の前園長、西福江さん(86)は日本人のソウルフードみそ汁を、子どもたちの健やかな成長を願うお守りのような存在に昇華させた」

 -作品はどのような形で公開していくか。

 「乳幼児と親が一緒に見る親子鑑賞会の形を増やしたい。上映後に親同士、食に関する情報交換をする場になるといい。みそ造りのワークショップも合わせ、参加者に造り方を教えたり、おいしいみそ汁を飲んだりしてもらう。視覚、味覚、触覚など五感で体験する上映会が理想だ。みそ造りの達人のおばあちゃんが先生になって、子どもたちと一緒に仕込む場がつくれれば最高。日本各地でそんな自主上映を広めたい」

 -次の企画は。

 「今回の作品には、西さんの仕事現場を写した場面もある。80~90代の方々には、日本の風土や自然を敬愛しながら暮らしてきた『源日本人』の生きざまが宿っている。まだまだ日本にはすてきなおじいちゃん、おばあちゃんがいるはず。まずは西日本新聞生活面の連載『ながのばあちゃんの食術指南』の長野路代さん(86)のドキュメンタリーを作りたい。貴重な姿を元気なうちに、一人でも多く記録したい。企業や自治体に映像製作の協賛をしてほしい」

 ▼「いただきます みそをつくるこどもたち」 雑穀入り玄米や納豆などの和食メニューを毎日実践している高取保育園の四季を通じた様子を収めた。給食時間にみそ汁を無心に食べる様子、みその仕込みを楽しむ姿、はだしで遊んだり近くの山で野外体験したりする映像を通して、伝統的和食の力を伝える。65分。ナレーションは女優石田ゆり子さん。ホームページ=http://itadakimasu-miso.jp/=から上映申し込みができる。


=2016/07/06付 西日本新聞朝刊=

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